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パンデミックでも店舗を“休眠させない” ユニファイドコマースは、小売りの救世主になるか海外と日本の事例(3/4 ページ)

オンラインとオフラインの垣根を取り払い、全てのチャネルを「統合」する「ユニファイドコマース」は今後、どのような展開を見せるのだろうか。海外と日本の事例を取り上げ、将来を占ってみたい。

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 各国でワクチン接種率が上昇を続けるなど、明るいニュースが聞かれることも増えてきたが、いわゆる「ブレークスルー感染」による患者数の再拡大など、まだまだ予断を許さない。多くの国や地域では行動制限が続いており、以前のように物理店舗でのショッピングを自由に楽しむことはできない状態となっている。

 ユニファイドコマースは、こうした状況でまさに救いの手を差し伸べる存在といえるだろう。オンラインとオフラインの垣根を取り払うということは、コロナ禍で物理的な店舗という資産を休眠させてしまうのではなく、それを生かしながらビジネスを続けられることを意味する。

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写真はイメージです(提供:ゲッティイメージズ)

 前述のCue Clothingでは、ロックダウンなどによって一部の店舗の閉鎖を余儀なくされたものの、そうした店舗をオンラインのスタイリング・セッションの場として活用した。また営業を続けている店舗や、一定の来店客が見込める店舗に在庫を転送し、それらの店舗で梱包・発送作業を実施したり、顧客の来店に対応したりしている。

 TSIホールディングスは、コロナ禍によって300を超える物理店舗(全体の約3割)が休業。営業時間を短縮する店舗も多く、「経営に大きな影響を受けた」と決算報告書の中で述べている。そんな中でも、22年2月期第1四半期では、売上高前年同期比157.8%、営業利益22.7億円を達成した。ユニファイドコマースを推進する企業が好調な結果を出していることは、多くの小売業者にとって、ユニファイドコマースを検討する大きな材料となるだろう。

 ただ、パンデミックによってユニファイドコマースへの注目が高まるからといって、取り組みが順調に拡大するかどうかは別の話だ。

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