ユニファイドコマースで結局何ができるのか? 成功企業に学ぶ“顧客体験の劇的な改善”:石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(2/4 ページ)
小売りのEC化が進む中、あらゆる情報を一元化し、顧客体験を高める「ユニファイドコマース」が注目されている。ユニファイドコマースは、どのような成功事例があるのか? 結局何ができるのか? 解説する。
これにより、店舗で商品を見た顧客は、購入準備ができたらすぐにオンラインで購入手続きできます。結果として、Shopify POS導入後最初の半年間での売り上げは、前年比で100%アップしたということです。
大手のECサイトではなく、tokyobikeのような中小企業がユニファイドコマースを導入して世界中から顧客を獲得しているという事例は、いかにユニファイドコマースの浸透が進んでいるかを表しています。
もう一つ、店舗でマットレスを販売するAmerican Freightという1968年創業の老舗メーカーもユニファイドコマースを導入した事例として興味深いので紹介します。
American Freight社は、コロナ禍で急速な成長を遂げたため、最終的には165以上の店舗で30以上のPOSシステムと33の金融システムを使用する事態に陥っていました。店舗ごとに異なるPOSシステムを導入した結果、以下のような問題を抱える状況に陥りました。
- 在庫の数や詳細などの情報が一元化されておらず、顧客体験が損なわれる。
- 店舗ネットワーク全体の在庫を活用して販売を促進するといった効果的な戦略を実現することが困難である。
- 手順が標準化されておらず、テクノロジーも古いため、店員のトレーニングに何週間もかかる。
- 結果的に、会計処理に必要以上の時間を要し、顧客体験が損なわれる。
そこで同社は、これらの問題を解決するために、エンビスタ社のユニファイドコマースシステムを導入しました。
このシステムにはPOS(販売時点情報管理:Point of Sale)、OMS(注文管理システム:Order Management System)、PIM(商品情報管理:Product Information Management)が組み込まれています。これにより全ての店舗の在庫の可視化、販売注文プロセスの標準化と最適化を可能にしました。結果として、会計にかかる時間が3分以内に短縮され、顧客体験を劇的に改善できたといいます。
ユニファイドコマースの利点は結局何なのか?
次にユニファイドコマースの利点がどこにあるのかという点について、前述のtokyobikeやAmerican Freightの事例を参考に考察したいと思います。
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