“時代錯誤”から残業ゼロ、週休3日に! 鳥取の不動産会社がレガシー企業からDX先進企業になれたワケ:たった一人の熱意が会社を変えた!(3/4 ページ)
スケジュールをホワイトボードで管理し、書類は紙に記入してファイルにとじる。そんなアナログな環境から見事DXを果たしたウチダレック(鳥取県米子市)。地方企業としては珍しいDXノウハウ書籍『超効率DXのコツ』まで出版した、その極意とは? 書籍の著者でもあり、同社専務でもある内田光治氏に話を聞いた。
社員の半分が退職!? 改革に伴う“痛み”にどう向き合った?
着々と改革を進めていった内田氏だが、当初から全ての社員から賛同を得られたわけではない。仕事の進め方を変えることに反発するベテラン社員は多く、なんとDX推進をスタートしてから最初の約2年間で社員の半数が退職してしまった。
「退職する日の朝礼で『変えてはいけないもの(仕事)もあると思います!』と言い放った方もいました。私としては、自己満足のために仕事環境を刷新したつもりはなく、仕事を効率化して残業を減らせたら喜んでもらえるだろうと考えていたのですが……想像以上の反発には正直、戸惑いました」と、内田氏は当時を振り返り力なく笑う。
アナログで長く仕事を続けてきたベテラン社員のなかには、業務をデジタル化することで「自分の仕事が奪われる」と感じる人もいたのかもしれない。しかし、デジタル化で効率化を果たすことは、「仕事をなくす」ことではない。「しなくていい仕事を省いて、注力すべきほかの作業にリソースを割く」ことであり、また内田氏が話すように「ワークライフバランスを整える」ことが目的だ。
実際に残業が減ったり休暇が取りやすくなったりといった成果が見えるようになると、多くの社員が改革に賛同。徐々に足並みがそろっていったという。
週休3日を実現、営業利益は2.5倍
一連の改革による成果は当初の予測を上回るものだった。「営業利益2.5倍、コスト40%減を達成し、残業はゼロになりました。さらに現在は、繁忙期を除くシーズンの週休3日制も実施しています」(内田氏)。
週休3日制導入の背景には、引っ越しの多い年末や年度末に業務が集中する不動産業界特有の問題が大きく影響しているという。
「繁忙期に合わせて人員配置を行うため、それ以外の時期は人が余り気味になり、持て余した時間を埋めるための不要な仕事が生み出されてしまうといった問題が起きていました。繁忙期以外は思い切って休んだほうがメリハリが利きますし、不要な仕事も発生しません」
繁忙期は週休2日のまま、それ以外の時期について19年から段階的に週休3日を導入。給与や勤務時間は週休2日時代と変わらないそうだ。時間にゆとりが生まれたことで、資格の取得率が向上するなど社員の意識改革にもつながっている。
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