西鉄が「サイクルトレイン」の実証実験 観光需要の喚起を図る:そのまま車内に持ち込める
西日本鉄道が、自転車を折りたたまずそのまま車内に持ち込める「サイクルトレイン」の実証実験を行う。
西日本鉄道は10月7日、自転車を折りたたまずそのまま車内に持ち込める「サイクルトレイン」の実証実験を行うと発表した。同23日から西鉄天神大牟田線で実施する。コロナ禍で落ち込んでいる観光需要を喚起させ、沿線地域の新たな賑わい創出への貢献を目指す。
自転車は近年、コロナ禍で密を避ける移動手段としての利用だけなく、観光促進のツールとしても注目されている。福岡県でもサイクルイベントの企画やコース整備などを行っており、西日本鉄道は、サイクルトレインの導入を通して新たな移動手段の選択肢を提供し、沿線周辺エリアの活性化につなげたい考えだ。
実証実験では、特急列車のみを対象に、6両編成の車両の1両を自転車持ち込み可能車両とする。持込み料金は無料で、乗車運賃のみで利用できる。
自転車を持ち込んでの乗降が可能となる対象駅は、西鉄福岡(天神)、薬院、大橋、西鉄二日市、西鉄久留米、花畑、大善寺、西鉄柳川、新栄町、大牟田の10駅。実施期間は、10月23日〜12月12日の土日祝日のみで、持ち込み可能時間は、西鉄福岡(天神)発午前10時〜午後4時、大牟田発午前10時23分〜午後3時53分。
同社は今後本格導入を目指し、運行日や運行時間、対象駅などについて検証を進めていく。将来的には、サイクルトレインを普段の買い物やサイクリングでも利用できるようにすることで、さらなる利便性向上を目指すとともに、自治体のサイクルツーリズムの取組みと連携し、イベントの開催なども検討していくとしている。
サイクルトレインの導入に向け、各鉄道会社が実証実験を進めている。このうち西武鉄道では、西武多摩川線で進めていた実証実験を10月1日から本実施へと移行。実証結果を踏まえ利用時間を延長した他、エレベーターは車いすの利用者を優先させるなど、バリアフリーも配慮した運用とした。
地域交通の利便性拡充や、二酸化炭素の排出量が少ない移動手段としても注目されるサイクルトレイン。新しい移動手段として定着するだろうか。
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