「かつや」以外も! 「中山豆腐店」や「東京たらこスパゲティ」を次々仕掛けるアークランドサービスの開発力:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
かつ丼「かつや」、から揚げ「からやま」を展開するアークランドサービスホールディングスの業績が好調。コロナ禍でも次々と新しい業態を開発している。
和風ファストフードのパイオニア
アークランドサービスの主力業態はもちろんかつや。かつ丼、とんかつをクイックかつ安価で提供する和風ファストフードのパイオニアだ。1998年に1号店を神奈川県相模原市にオープンして以来、全国に429店(21年10月10日現在)を展開する。19年12月末の店舗数は406店だったので、23店増えている。
人気メニューの1位は「カツ丼(梅)」(539円)、2位は「ロースカツ定食」(759円)。一度利用すれば100円引きの紙のクーポン券が配られる。そのため、利用期限はあるが、頻繁に利用する人ならばほぼ無限に定価より100円安く食事ができるようにしている。
しかし、かつやといえども、喫茶やラーメン、牛丼などと同じく「都市部の駅前立地は厳しい」(同社・広報)現状であり、地方のロードサイド店を強化している。例えば、9月10日にオープンした滝川店は、北海道滝川市の国道12号線ロードサイドにあり、席数38席に対して、20台の駐車場を備える。
出店に際しては、顧客が店内飲食を控える傾向が続いているので、周囲の地域に「テークアウトできる」旨を記載した新聞の折り込みチラシを配布している。
従来、かつやのメインの顧客は車で来店する1〜2人の40代男性だった。しかし、テークアウトでは家族分を買って帰る主婦が増えた。その結果、客数が減っても、それ以上に客単価が上がる傾向が出ている。1〜9月の既存店客数が3.7%減に対して、既存店客単価は6.1%増となっている。
テークアウト限定メニューでは、期間限定でインパクトの強い商品が登場し、デカ盛り好きの外食ファンに喜ばれている。8月には「鶏のから揚げ」と当該企画限定の「黒胡椒から揚げ」の合い盛り商品を発売。具体的には、合計1キロの重量となるから揚げ約18個が入った「全力合い盛りから揚げ1kg」を、揚げ物総菜が充実した「かつ弁」取扱店235店で販売し、好評のうちに終了した。
また、「全力飯弁当」は、ご飯が見えなくなるほどの盛りだくさんのおかずが特徴。昨年4月の第1回目の緊急事態宣言期間中、「生姜焼丼から揚げチキンカツ弁当」など4品を、数量と店舗を限定して発売したところ、想定の3倍以上の売り上げとなり、早々に終了した。
全力飯弁当は、今年の1月(第2回目の緊急事態の期間中)に復活した。1月18〜27日、1月28日〜2月4日にはそれぞれ、ナポリタンと焼きそばを麺に使った「わんぱくオムそば」の弁当(853円)が販売された。
ラインアップは、ナポリタンが「オムナポリタンと海老・チキンカツのソースカツ弁当」と「オムナポリタンとから揚げ・メンチカツのソースカツ弁当」。焼きそばは、「オム焼きそばと海老・チキンカツのソースカツ弁当」と「オム焼きそばとから揚げ・メンチカツのソースカツ弁当」。ネット注文で事前決済できる仕組みを導入して、並ばなくても済むスムーズな受け渡しを実現した。
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