「かつや」以外も! 「中山豆腐店」や「東京たらこスパゲティ」を次々仕掛けるアークランドサービスの開発力:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
かつ丼「かつや」、から揚げ「からやま」を展開するアークランドサービスホールディングスの業績が好調。コロナ禍でも次々と新しい業態を開発している。
残念ながら閉店した店も
具だくさんのすき焼き風牛丼専門店として根強いファンが多かった肉めし「岡むら屋」。営業不振のため、最後に残った都内の新橋店も11月5日で、惜しくも閉店することになった。五反田店が東京とろろそばに、秋葉原店が中山純豆腐に転換するなど、グループ内の他業態にリニューアルされた店もあるので、転換された後もなんとなく通っている人もいると聞く。このように、スクラップ&ビルドで消えていく業態もあるということだ。
この他にも、M&Aで17年に傘下に入った、バックパッカーズのカレー専門店「野菜を食べるカレーcamp」、とん汁専門店「ごちとん」がある。また、同じく20年に傘下入りした、ミールワークスのタイ料理「マンゴツリーカフェ」、手づかみシーフード「ダンシングクラブ」といった、個性的な専門店群がアークランドサービスに集結してきている。
ミールワークスのマンゴツリー東京は、02年の丸ビル開業時にオープンし、日本のタイ料理のフラグシップ店として知られる。マンゴツリーはタイの首都バンコクに本店があり、ロンドンに次ぐ世界3店目となる。アークランドは、新潟のホームセンター、アークランドサカモトの飲食事業部から独立して、かつやで成功し、今や和風ファストフードのみならず多種多様なブランド、本格的なレストランも手掛けるようになった。
7月1日には、06年から社長として指揮を執ってきた臼井健一郎氏が会長となり、坂本守孝氏が新社長に就任した。坂本氏は18年よりエバーアクションの社長としてからやま、からあげ縁の事業展開で実績を上げてきた。坂本新社長が、臼井氏が切り開いてきた多ブランド化、ブランド・ポートフォリオ戦略をいかに発展させていくのか。コロナ禍を力強く乗り越える、アークランドサービスに期待したい。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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