魅力度ランキングに群馬県知事が激怒! 「ランキング商法」の背景に、何があるのか:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
ブランド総合研究所が発表している都道府県魅力度ランキングが「炎上」した。群馬県の山本一太知事が「信頼度が低く、ずさん」と批判し、法的措置も検討するとぶちまけたからだ。それにしても、なぜ日本人はランキングが好きなのか。背景に何があるのかというと……。
フラットに「魅力なし県」
今回の騒動で、「ネタにすりゃいいじゃん」「そこまでムキにならなくても」というが、自治体の首長はムキにならざるを得ないのだ。政府が、この「主観的な判断」でも宿泊施設の稼働率に影響があると述べているからだ。
実際、あるランキングの低い自治体では、知事選の際に、対抗馬が低い順位は現職の知事の責任だと追及したケースもある。われわれは魅力度ランキングを見ても、「あー、今年は茨城がビリか」とバラエティ番組のように楽しんで終わりだが、自治体首長、職員、観光業者など当事者からすれば、死活問題なのだ。
このような現実を踏まえると、「都道府県魅力度ランキング」をめぐるトラブルの解決方法が見えてくる。
それは「ビリ」の活用だ。中途半端にランキングが低いと単にディスられて終わりだが、ビリはマスコミから注目されて経済効果が得られる。実際、茨城は魅力度ランキングで4年連続最下位を逆手に「これからブレークだっぺ」などのコピーでPRを展開したところ、テレビなどで多く取り上げられ、17年には広告換算で100億円にもなったという。
そこで提案だが、来年からは、ランキングを20位くらいまでにして、残りの27自治体はすべてフラットに「魅力なし県」という扱いで、「ビリ」にしたらどうだろう。
これまで「ビリ」にだけ許されてきた「自虐PR」をより多くの自治体が享受できるし、魅力なし県同士で同盟を組んだり、魅力ある県に包囲網を組んでケンカを吹っかけたりという「翔んで埼玉」のようなプロレス的なアングルも可能だ。
地方活性を目的とするのなら、ただ序列をつくるより、こっちのほうがよほど効果的ではないか。山本知事との和解のためにも、ブランド総合研究所にはぜひご検討いただきたい。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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