コロナで大苦戦した鳥貴族は“復活”できるか? カギを握る「トリキバーガー」の動向:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
コロナの第5波がようやく収束し、通常営業する店が増えてきた。都市部に出店してきた鳥貴族はここから復活できるのか。新業態の「トリキバーガー」の現状と合わせてレポートする。
新型コロナウイルス感染拡大の第5波がようやく収束した。9月末に緊急事態、まん防(まん延防止等重点措置)が解除された。また、東京都は独自に定めた飲食店への時短要請も10月25日から全面解除した。お酒を主体に提供する飲食店、居酒屋、バーは、再スタートのラインにやっと立てるようになった。
焼き鳥居酒屋のトップランナーとして、今世紀に入って成長を続けてきた鳥貴族も、コロナ禍で大きな影響を受けた。最も落ち込んだのは、2020年4月。既存店売上高は緊急事態を受けてほぼ全面的に休業していたため、前年同月比3.9%にまで落ち込んだ。突如、売り上げの96.1%を失うこととなり、前途多難を思わせた。
結局、20年7月期(19年8月〜20年7月)の決算においては、売上高は275億3900万円(前年同期比23.2%減)で、経常利益は9億5500万円(同16.5%減)と利益を確保したものの、最終損失は7億6300万円の赤字となった。
21年7月期(20年8月〜21年7月)の決算は、鳥貴族が持株会社体制に移行し、鳥貴族ホールディングス(HD)となったため、前年との単純比較はできない。しかし、売上高は155億9000万円にまで縮小。経常損失3億1400万円、最終損失4億6600万円に終わっている。店舗数は615店で、1年で14店減った。
時短要請に応えた協力金が入って赤字額は縮小した。しかし、同社は3大都市圏に絞って店舗展開していたため、出店エリアの度重なる緊急事態により、店舗の時短や休業が続いて大きな影響を受けた。
19年7月期の年商は358億4700万円だったので、コロナ禍で売り上げが半分以下に落ち込んだことになる。
ワクチンの接種が進んで重症化率が低くなった今期は、緊急事態の必要性が薄れてきていて、同社の売り上げも大幅な回復が見込まれる。それでも第6波、第7波が来るのか、あるいは来ないのか、予測困難だ。
そのため、今期の通期連結予想について同社の大倉忠司社長は「現時点では合理的な算定が困難であるため、未定」としており、「今後の動向を注視しつつ、合理的な算定が可能となった時点で改めて公表する」としている。
また、お酒に頼らない疫病禍に強い業態として、チキンバーガー専門店の「TORIKI BURGER(トリキバーガー)」を新しく開発。今年8月、東京・大井町に1号店を出店したが、当面は検証と改善の期間と考えており、急速に多店舗展開する考えはない。しっかりと業態を整えて、将来的には「鳥貴族」と並ぶ主力業態に育成する方針だ。今年度中に東京に2店、3年間で直営店10〜20店を目指す。
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