コロナで大苦戦した鳥貴族は“復活”できるか? カギを握る「トリキバーガー」の動向:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
コロナの第5波がようやく収束し、通常営業する店が増えてきた。都市部に出店してきた鳥貴族はここから復活できるのか。新業態の「トリキバーガー」の現状と合わせてレポートする。
トリキバーガーの動向は?
さて、鳥貴族がポストコロナに向けて構築を急ぐトリキバーガーについて詳しく見ていこう。
鳥貴族HDの傘下・トリキバーガーの高田哲也社長は、日本マクドナルドの営業部長などを経て、2010年に転職してきた。チキンバーガーを立ち上げるために入社したのではない。しかし、経歴を見る限り、鳥貴族の社風を理解した上でファストフードを展開するにはうってつけの人物だろう。
トリキバーガーは国産食材100%(法令に基づき最終加工地が日本のものを含む)という高品質を売りにしている。バンズの原料である小麦、生鮮食品のチキンや野菜は全て国産だ。ソースなどの加工食品も最終加工地は日本である。
ロゴに描かれた、宇宙船にも見える羽が生えたハンバーガーは、チキンを想起させ、世界へ羽ばたく意味合いも込めた。中心に鳥貴族のトリッキーマークが配され、一筆書きでハンバーガーを表現することで、覚えやすく親しみやすいフォルムとした。
1号店は、JR京浜東北線、東急大井町線、りんかい線の3線が乗り入れる大井町駅前の路面にあり、遠目からも黄色い看板がよく見える。1階で注文を取り、2階でイートインができるスタイル。内装は、白と木目を基調に、アクセントとして鳥貴族のシンボルカラーの黄色を配している。
価格は、バーガー単品390円、セット(バーガー+ポテトS+ドリンクM)590円などと統一されている。均一的な価格から、お得な商品を見つけ出してほしいという考え方は、鳥貴族を踏襲している。
午前7〜10時半は、モーニングメニューが別途提供される。単品・コンビ(単品+ドリンクS)が290円、セット(バーガー+ニョッキ+ドリンクM)が490円などとなっている。
1日を通して、サイドメニューは190円、ドリンクはS190円・M250円・L350円の3プライス。
同社では、トリキバーガー1号店に関して、オープン当初のような行列はなくなってきたが、順調に推移しているとする。当初目標の年商2億円を達成できるめどが立ってきた模様。
顧客単価は1会計につき、朝が約600円、昼と夜が約900円となっている。居酒屋と違って未成年も来店するので、学生を取り込めている。
人気商品は、店名にもなっている「トリキバーガー」だ。1枚の胸肉100グラムに衣を付けたチキンフィレを挟んだバーガー。4割ほどのお客が注文する。テークアウト比率は6割と高い。
焼き鳥業態が母体となっているので、もも肉のてり焼きを挟んだ「焼鳥バーガー」や、軟骨入りのつくねにてり焼きソースを合わせた「つくねチーズバーガー」の人気も高い。
その他、チキンカツや、バジルと柚子こしょうマヨの2種類のサラダチキンのバーガーなどがある。
メニューはまだまだ改善の余地がありそうだ。期間限定でもいいので、焼き鳥屋らしい焼き鳥バーガーの類を拡充していけば、競合他社との差別化になりそうだ。
10月5日からはスマホのアプリから注文が可能になり、より利便性が高まった。店内はフリーWi-Fi完備で、カウンターにコンセントとUSBポートを備えた席もあるので、テレワーク目的で訪れる人もいる。
トリキバーガーは鳥貴族に比肩する第2の柱に向けて、視界は良好だ。
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