日立と東芝、ソニーとパナ 三度のパラダイムシフトが分けた「昭和企業」の明暗:どこで差がついたのか(4/4 ページ)
バブル崩壊、リーマンショック、コロナ禍と、平成以降、日本企業を襲った三度のパラダイムシフト。この間に、多くの「昭和企業」が明暗を分かたれた。本記事では、代表的昭和企業として、日立と東芝、ソニーとパナソニックを分析していく。
戦後日本の経済成長を支えてきたわが国を代表する大手企業は皆、優に半世紀を超す歴史を刻んでいます。すでに20年前の時点で過去のものになりつつあった昭和の感覚は、例えばコンプライアンスやガバナンス、アカウンタビリティーが日本実業界の常識になるにつれ、もはや完全に過去のものになっているのです。
昭和大企業が、人間に例えればビジネス界で自らの実年期、壮年期をしっかりと生き続けていくためには、古い考えに引きずられることなく新しい時代にのっとった思想の下で新たな舵を切れなければただ消え去るのみでしょう。その意味から約10年ごとに訪れる経済的なパラダイムシフトは、古い体質を引きずる企業に対する変革対応への警鐘でもあるともいえます。昭和の終焉から数えて三度目の大きなパラダイムシフトを迎えた今、昭和体質を引きずる企業にとってはこれがラストコールであるのかもしれません。
片や既に旧体質を払拭(ふっしょく)して次なるステージへ駆け上がる昭和企業、片やそこから抜け出せずにもがき続ける昭和企業。後者は決して東芝やパナソニックに限った問題ではありませんが、体質を変えられない昭和企業たちが次なるパラダイムシフトを乗り越えることができるのか、それが大きな不安材料であることは間違いありません。そしてその次なるパラダイムシフトが約10年後のことなのか、あるいはもっと早くに訪れるのか。彼らの昭和体質払拭に残された時間は、決して多くはないでしょう。
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