なぜペイパルはPaidyを選んだのか? 国内BNPLの今後の展望を歴史からひも解く:急成長するBNPLの業界見取り図(4/4 ページ)
前編では、なぜBNPLと呼ばれる「後払い」が急速に伸びているのかを、その課題と共にチェックした。後編では、日本国内における「後払い」の特徴をその歴史からひも解きながら考察してみたい。
今後の「後払い」で重要になる差別化ポイント
以上の通り、国内の「後払い」のこれまでの変遷を踏まえると、「後払い」で今後も重要になってくる差別化のポイントは以下のようなものになると考えられる。
- ユーザーの住所情報に頼らないこと=商材問わず「後払い」が可能
- 紙の支払票を前提としないこと=スマホで完結するためUXが良い
- 分割払いへの対応をしているか後払いチャージへ対応していること=「後払い」事業者としてのマネタイズ手段としても有用
以上を踏まえると、Paidyは確かに現時点で考え得る限りの進化を遂げた「後払い」である。あるいは、メルペイの「メルペイスマート払い」も「後払い」のサービスとしてのバランスは非常に良い。「定額払い」の名称で展開している分割払いサービスも実装されており、今後の動向には注目していきたい。
また、後払いチャージの文脈では、アイフルグループのAGミライバライが面白い。現在VisaプリペイドカードアプリのKyashには「イマすぐチャージ」の名称で、家計簿プリカアプリのB/43には「あとばらいチャージ」の名称で、それぞれ後払いチャージを展開中だ。
これら2社のサービスには現在筆者が社長を務めているLectoが与信並びに回収において全面協力をさせていただいているが、双方のサービスともに毎月非常に多くのトランザクションが上がっており盛況だ。他社からも今後複数の同様のサービスが立ち上がってくることが見込まれ、「後払いチャージ」領域も今後も大いに盛り上がりを見せていくはずである。
筆者プロフィール:小山 裕
音楽業界、三越伊勢丹グループ、KDDIグループなどを経て2017年にGardiaを創業。同社を2年でM&Aによる伊藤忠商事グループ入りへ導いた後、20年末に経営から退き、新たに「督促回収テック」を展開するLectoを創業して代表取締役社長に就任。
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