DMM子会社、マイクロバスを「走る救命救急室」に “現場重視”のこだわった機能とは?:千葉大病院が導入(1/3 ページ)
千葉大学医学部附属病院が、「エクモカー」を千葉県で初めて導入した。車両を開発したのは、DMM.comの子会社で、消防用資機材や関連製品の販売などを行うベルリング(横浜市)だ。
千葉大学医学部附属病院は11月1日、ECMO(体外式膜型人工肺)を装着した患者の搬送を可能とした車両「エクモカー」を、千葉県で初めて導入した。車両を開発したのはDMM.comの子会社で、消防用資機材や関連製品の販売などを手掛けるベルリング(横浜市)だ。
エクモカーには、車いすや自転車の開発を行うオーエックスエンジニアリングが開発した日本初となる「国産ECMOストレッチャー」を搭載。災害現場での活用も想定した工夫を凝らしている。
重症患者を安全に輸送する「走るER(Emergency Room)」
エクモカーのコンセプトは「患者の安全と医療スタッフのパフォーマンス向上」。重症患者を搬送するためにモニタリング機器を配置し、360度から治療ができるようスペースを確保した。
室内には照明を多数設置し、どの角度からも均一に照射できる構造とした。昨今の災害におけるDMAT(Disaster Medical Assistance Team、災害派遣医療チーム)の出動経験から、出動先でも開胸や開腹手術といった救急室さながらの救命活動を行えるとしている。
千葉大学病院 救急科・集中治療部の大島拓医師によると、新型コロナウイルスの感染拡大により、ECMOを使った治療が必要になるケースや、近隣の病院にECMOの空きがなく遠くの病院まで患者を運ぶケースが相次いだという。
同病院では1993年よりECMOを使った治療を実施しており、2014年からはECMO装着患者の受け入れも行っている。ECMO装着患者の搬送では、救急車やヘリコプターの狭い空間で1〜2時間過ごすこともあるといい、重症患者の安全な搬送のため、より装備の充実した車両を導入することになった。
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