高齢者の踏み間違えは防げるか? 誤発進抑制機能の有効性:高根英幸 「クルマのミライ」(1/4 ページ)
毎日のように報道を賑(にぎ)わせている交通事故として、クルマが商店などに飛び込んでしまうという誤発進による事故が目に付く。そのほとんどは高齢ドライバーが引き起こすもので、「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」と自らの運転操作ミスを認める内容の発言も報じられることが多い。
毎日のように報道を賑(にぎ)わせている交通事故として、クルマが商店などに飛び込んでしまうという誤発進による事故が目に付く。高齢ドライバーが、「ブレーキとアクセルを踏み間違えた」と自らの運転操作ミスを認める内容の発言も報じられることも少なくない。
逆走や歩道走行など、高齢ドライバーによる危険運転の事象はほかにもあるが、それらとこのペダル踏み間違いは分けて考える必要がある。というのも前者は認知機能(法令順守や倫理観の欠如も含めて)が原因となっていると思われるが、後者のペダル踏み間違いは認知機能とは直接的な因果関係は認められないと思われるからだ。
ではペダル踏み間違いはどうして起こるのか、実はそこには高齢ドライバーならではの運転特性が深く影響している。
まずドライバーの運転に対する責任感が希薄となっていることで起こる原因を挙げていこう。後退時など身体がよじれたまま操作したことによる踏み間違いは、長年の経験から気軽に運転していることも原因だ。
しかしそれ以前の問題として、正しい運転姿勢をとらずに運転しているドライバーが実に多い。シートが低過ぎて前方視界があまり確保できていないまま運転している小柄な高齢ドライバーも多いが、それよりもシートを後ろに下げてステアリングもペダルも遠い状態で運転しているドライバーの何と多いことか。さらに自動車メーカーがペダルレイアウトを左にオフセットさせているのも、ペダル踏み間違いを誘発している可能性がある。
また足の可動域が狭くなって、踏み替えが不十分なケースもある。運転中、右足の踵(かかと)をフロアに付けたまま、アクセルペダルから内側にあるブレーキペダルに踏み替えようとした場合、内側に捻(ひね)る動きが十分でなければアクセルペダルを再び踏み込んでしまう。この内旋角と呼ばれる足の捻り角の低下は、加齢によって低下してしまう身体能力の一つだ。
ギアのセレクトを間違えてパニックになるケースも多い。例えば店舗と対面する状態で駐車している車両において、後退しようとした時に間違えて前進にシフトし、アクセルを踏み込んで前進しようとしたクルマの動きに慌てて、ブレーキペダルに踏み替えることなくアクセルペダルを踏み込んでしまう、というものだ。
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