なぜ某カフェチェーンは時給を上げないのか 「安いニッポン」の根本的な原因:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
アルバイトの応募が少ない――。某カフェチェーンから、このような嘆きの声が聞こえてきた。人口減少の問題もあるだろうが、なぜバイトが集まらないのか。その理由は……。
「安いニッポン」から抜け出すには
人手不足でバイトが集まらないのなら時給をあげる。時給を上げられないのなら、それを捻出できるように今の時代に合わせた新しいビジネスモデル、新しい業態へと転換をする。何も理不尽なことは言っていない。世界ではそれこそが、経営者が求められる仕事だ。できないようなら、経営者はやめて労働者になる。当たり前の話だ。
しかし、残念ながら、プレイヤーの多すぎる日本では「安さで勝負」を突きつめることが、経営者の仕事だという認識がいまだに根強い。だから、人手不足でも時給を上げることができない。経営とは、自社の企業価値、株価、従業員の給料、商品やサービスの質を高めていくことだ。「安さ」ではなく、「価値の向上」を目指すことが本来、経営者がやるべき仕事なのだ。
「安いニッポン」から抜け出すには、まずはこのような日本の経営者の思い込みから変えていかなくてはいけないかもしれない。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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