コロナ禍の新入社員は組織への適応が課題? 「リモートで1人仕事」の増加が要因か:2068人に調査(2/3 ページ)
日本能率協会マネジメントセンター、「イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査2021」の結果を発表。20年と比較して、新入社員が組織に適応していくプロセスがうまく進んでいない実態が明らかとなった。
時期別にみる新入社員の課題
内定から入社後すぐの新入社員は、例年と変わらず「社会人としての生活リズム」に課題や不安を感じる結果となった。3人に1人が生活のリズムがつかめず、4人に1人が「仕事が自分に合っているか」を悩んでいるようだ。
一方、コロナ禍前後の回答結果と比較してみると、テレワークにおける課題や不安が顕在化している。特に「自分の殻を破れず、職場になじめない」「上司・先輩と良い関係が築けない」など、社内の人間関係構築や仕事、キャリアなど今後の見通しが立ちづらくなっている様子がうかがえた。
配属されて間もない1〜3カ月後も、リモート下で感情処理の課題が増加するなど、コロナ禍の影響を大きく受ける結果となった。
調査では新入社員、指導者側双方の40%がテレワーク中心に移行していた。その影響もあり、生活リズムは整うも、リモート環境での1人仕事が増えている人が多いようだ。具体的な仕事内容や業務手順が把握できていないため、業務経験を通じたキャリア形成や課題認識ができる状態ではないことが明らかとなった。
配属6〜12カ月後は、成長への不安や焦り、仕事への不安を抱える状態が続く中、「周囲との人間関係が築けない」「相談できない」課題が増加していた。新入社員が成長していく過程において重要な実体験を通じた「学び」や「指導育成(OJT)」の機会損失が発生している職場が多いようだ。
同社では「自社や組織への適応がうまくいかないと新入社員は帰属意識、自己肯定感の形成などができないことによる退職やメンタル不全に陥ることにもつながる」とし、まずは職場の上司、先輩を中心とした受け入れ側が新入社員との対話を増やしながら、小さな成功体験の積み重ねやキャリア形成ができる状態にしていくことが重要としている。
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