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どうなるインフレ? 流動性相場はまだまだ続く(1/2 ページ)

昨今インフレが話題だ。米国ではインフレ率が急上昇し、国内でも原油高資源高の影響やガソリンや日常食品などで値上げが続いている。コロナ禍からの経済回復がまだ完全ではないなか、インフレが襲うと、不況下で物価上昇が起きる「スタグフレーション」の声さえ聞かれる。

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 昨今インフレが話題だ。米国ではインフレ率が急上昇し、国内でも原油高や資源高の影響によって、ガソリンや日常食品などで値上げが続いている。コロナ禍からの経済回復がまだ完全ではない中インフレが襲うと、不況下で物価上昇が起きる「スタグフレーション」の声さえ聞かれる。

 しかし、「今の物価上昇は理由が明確だ。今が物価上昇度合いが最も高く、年明けから下がっていくだろう」と話すのは、三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストだ。


三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジスト

インフレ率は急上昇だが?

 米国の個人消費支出(PCE)物価指数は足下で急上昇し、10-12月期には対前年で7.6%の上昇となる見込みだ。しかしこの理由について、「コロナの影響で人が労働市場に戻ってきていないことが原因。人が戻ってくれば物価は下がってくる可能性が高い」と市川氏は見る。


米国の実質GDP成長率と物価予想(三井住友DSアセットマネジメント資料より)

 グローバルにおいても、物価高はコロナ禍による一時的な可能性が高い。「コロナの影響で生産が見通しにくい。東南アジア工場などの混乱も、ワクチンの普及や治療薬の普及によってサプライチェーンの混乱は解消される」(市川氏)

 さらに日本においては、確かに物価は上昇傾向にあるものの、インフレを懸念するほどの伸びではない。日銀は2%の物価目標を長らく掲げているが、「おそらく到達できない」(市川氏)という程度だ。

 こうした背景から、対前年比でのGDP成長率の低下と歩調を合わせて、インフレも落ち着きを取り戻し、2022年10-12月期には米PCE物価指数で2.5%程度まで沈静化すると市川氏は見る。

 この状況は「悲惨指数」をみても、さほど心配するほどのものではないことが分かる。悲惨指数とは、インフレ率と失業率を足し合わせたもので、国民の経済的な悲惨さを示すものだ。悲惨指数が高く、かつ経済が後退しているとスタグフレーションの状況になるが、直近の悲惨指数は10%程度だ。


米国の悲惨指数と景気後退期(三井住友DSアセットマネジメント資料より)

 過去10%を超えたのは、湾岸戦争、リーマンショック、欧州債務危機、そしてコロナショックだが、そのいずれでもスタグフレーションには至っていない。過去スタグフレーションが起こったのは、1979年の第2次オイルショックの際だ。このときは悲惨指数は20%を超えるまで上昇した。

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