成果主義・ジョブ型採用のもとで考えるべき、2種の人材ポートフォリオ:就労意識観点(1/4 ページ)
HR部門が「スキル観点」の人材ポートフォリオを考えるのは、もはや当然のことです。しかし人材がますます流動化する昨今、さらには成果主義やジョブ型採用が広がる流れの中では、これだけでは不十分です。「就労意識観点」ともいうべき人材ポートフォリオを持つ必要があります。
著者プロフィール:村山昇(むらやま・のぼる)
キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行なう。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。
企業の人事担当者は人材マネジメント戦略の1つとして「人材ポートフォリオ」というものを考えます。自社が必要とする人材をタイプ分けしてとらえ、その採用や組み合わせを考える手法です。一般的な人材ポートフォリオ分析を下に描きました。多くの企業は人材構成をとらえる場合、このようなスキル観点で分析します。スキルの種類やレベルに応じて人材タイプを決め、それぞれについて正社員として採用し育てるか、非正社員で充てるか、外部のタレントを都度で起用するかを検討します。
スキル観点の人材ポートフォリオを考えるのは、もはや当然のことです。しかし人材がますます流動化する昨今、さらには成果主義やジョブ型採用が広がる流れの中では、こうしたとらえ方だけでは不十分です。私はもう1つ、「就労意識観点」の人材ポートフォリオを持つ必要があると考えています。
私はこれまで顧客企業の研修受講者を対象に、就労意識のアセスメントテストを行ってきました。その分析アプローチの1つがこの4象限の図です。2つの軸――「キャリア形成環境の流動性許容度の大小」と「ワーク・ディベロップメント意識の強弱」――によって、被験者を4つの就労意識タイプに分けるものです。
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