「日本を代表するコンテンツ」温泉むすめが炎上! 美少女萌えとタバコ規制の微妙な関係:スピン経済の歩き方(3/7 ページ)
全国の温泉地を美少女萌えキャラに擬人化して、魅力を発信している「温泉むすめ」が炎上した。「性差別・性搾取」だと批判されたわけだが、この動きは今後、どうなっていくのだろうか。筆者の窪田氏は、タバコ規制と同じような動きをするのではないかと見ていて……。
「美少女萌え」をターゲットにした「外圧」
15年、国連特別報告者が来日して、「子どもの性搾取」に対する日本社会の“容認”状況に苦言を呈し、許容ゼロ姿勢の強化を求めた。さらに19年2月には、国連子どもの権利委員会が、日本政府への勧告を発表した。そこには「対策の実現・実施が強く求められている」こととしてこんなことが挙げられている。
『子ども、または主に子どものように見えるよう描かれた者が明白な性的行為を行っている画像及び描写、または、性目的で子どもの体の性的部位の描写を製造、流通、頒布、提供、販売、アクセス、閲覧及び所持することを犯罪化すること』
『女子高生サービスや子どもエロティカのように、子ども買春及び子どもの性搾取を助長し、 または、これらに繋がる商業活動を禁止すること』
「日本が誇るアニメ文化をポルノ扱いするとはこんな屈辱はない」と血の涙を流している人も多いだろうが、一方でこの国連勧告に従うべきだという人々もいらっしゃる。今年4月、11団体が連盟で、政府や国会に対して、児童買春・児童ポルノ禁止法の抜本的見直しを求める要望書を提出した。その団体の中には今回、「温泉むすめ」の問題を指摘した方が代表を務める団体も入っている。
実は近年、「萌え」を活用したキャンペーンやプロモーションなどが相次いで批判を受けて炎上や撤回に追い込まれているのは、このような背景がある。表面的には、フェミニストの方や社会活動家が片っ端からクレームを入れているので、彼らが活発に活動していることが大きな原因だと感じている人も多いだろうが、なぜ活発になっているのかという根っこをたどっていくと、「国連勧告」につき当たるのだ。
つまり、今の逆風はフェミニストの人たちをSNSやネットでネチネチと攻撃してもどうにもならない。日本の「美少女萌え」をターゲットにした「外圧」が強まっているのだ。
関連記事
- なぜ某カフェチェーンは時給を上げないのか 「安いニッポン」の根本的な原因
アルバイトの応募が少ない――。某カフェチェーンから、このような嘆きの声が聞こえてきた。人口減少の問題もあるだろうが、なぜバイトが集まらないのか。その理由は……。 - 「日本のアニメ」は家電や邦画と同じ道を歩んでしまうのか
技術や品質が「下」だとみくびっていた相手に、いつの間にか追い抜かれてしまう。そんな悪夢がやって来るのだろうか。白物家電や邦画が追い抜かれたように、「日本のアニメ産業」も負ける日がやって来て……。 - 賃金は本当に上がるのか? 安いニッポンから抜け出せない、これだけの理由
選挙戦が盛り上がってきたが、ビジネスパーソンが気になるのは、やはり「賃上げ」だ。賃上げを達成するために、各政党は目玉政策を打ち出しているが、その中でひときわ目を引く「謎の政策」がある。それは……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.