「日本を代表するコンテンツ」温泉むすめが炎上! 美少女萌えとタバコ規制の微妙な関係:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
全国の温泉地を美少女萌えキャラに擬人化して、魅力を発信している「温泉むすめ」が炎上した。「性差別・性搾取」だと批判されたわけだが、この動きは今後、どうなっていくのだろうか。筆者の窪田氏は、タバコ規制と同じような動きをするのではないかと見ていて……。
「延焼」を防ぐため迅速に社名削除
ほとんどの企業が「女性活躍」や「ダイバーシティ」「ジェンダー平等」などを推進している。そのようなご立派な目標を掲げる企業が「性差別・性搾取を応援している」なんて批判されるのはよろしくない。そこで「延焼」を防ぐため迅速に社名削除に動いた、というのは容易に想像できよう。
「そのように企業が弱腰だからフェミニストがつけ上がるのだ!」「政府の言うように日本を代表するコンテンツなのだから、威力業務妨害などで逆に訴えてやるべきでは!」
ネットやSNSでは、萌えファンの皆さんからそんな怒りの声が多く上がっているが、残念ながら現実問題として、企業としてそのようなスタンスを貫くことは難しい。
先ほどのサポーター企業のように、ジェンダー平等やダイバーシティを推進している企業が多いのは、日本が国をあげて「SDGs」(持続可能な開発目標)に取り組んでいるからだ。内閣総理大臣がSDGs推進本部長を務めているので、大企業は従うしかない。このSDGs的な価値観に基づくと、「セーラー服姿の少女に性的エピソードを語らせる」ことは「児童ポルノ」という扱いになってしまう。つまり、SDGs的には今回抗議があった「温泉むすめのキャラ」は完全にアウトなのだ。
実はSDGsの16番目の目標「平和と公正をすべての人に」という中には、「子どもに対する虐待、搾取、人身売買、あらゆる形の暴力や拷問をなくす」と明記されている。「まあ世界にはそういう遅れた国もあるもんな」とほとんどの日本人は他人事のように感じだろうが、実はSDGsを採択した国連からすると、これは「日本」にも向けられたものだ。
日本ではセーラー服姿の少女が、はちきれんばかりの胸や下着が見えそうなミニスカートを履いているようなイラストは「かわいい!」「萌え〜」と喜ばれて終わりだが、国連から見れば、立派な「児童を性的対象とした表現物」――つまり、世界に約180万人いると推計される、子どもの性的搾取被害を後押しする「児童ポルノ」であり、「表現の自由」や「文化」として容認されるものではない、というスタンスなのだ。
関連記事
- なぜ某カフェチェーンは時給を上げないのか 「安いニッポン」の根本的な原因
アルバイトの応募が少ない――。某カフェチェーンから、このような嘆きの声が聞こえてきた。人口減少の問題もあるだろうが、なぜバイトが集まらないのか。その理由は……。 - 「日本のアニメ」は家電や邦画と同じ道を歩んでしまうのか
技術や品質が「下」だとみくびっていた相手に、いつの間にか追い抜かれてしまう。そんな悪夢がやって来るのだろうか。白物家電や邦画が追い抜かれたように、「日本のアニメ産業」も負ける日がやって来て……。 - 賃金は本当に上がるのか? 安いニッポンから抜け出せない、これだけの理由
選挙戦が盛り上がってきたが、ビジネスパーソンが気になるのは、やはり「賃上げ」だ。賃上げを達成するために、各政党は目玉政策を打ち出しているが、その中でひときわ目を引く「謎の政策」がある。それは……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.