“仏の境地”和尚に学ぶ! 上司・部下に イライラする気持ちと仲良くなる「アンガーコントロール」の極意:大愚和尚のビジネス説法(3/3 ページ)
部下や上司と付き合う中で、怒りたくても怒れない、反論できずにイライラ……なんて経験は誰にでもあるはず。無理して笑って心の中で舌打ちをして――そんな毎日を送っていたら、心身ともに削られていくだけ。どうすれば、怒りと上手に付き合い、心穏やかに過ごすことができるのか? 和尚に「アンガーコントロール」の極意を聞く。
スポーツ観戦をするように、自分の「怒り」を実況中継しよう
答えは「気付いていること」。可燃物である「自我」に気付いていること。もし誰かの言動に触れて、心に怒りという熱が生じ、自我に着火したならば、その火種に「気付いていること」です。
なぜ「気付き」が大切なのでしょうか。「冷静になる」という言葉がある通り、「気付き」が水となって、心を冷やし、鎮火、消化の役割を果たしてくれるからです。
一度燃え上がった炎を完全に消化するためには、水をかけるだけでは不十分です。火が完全消化するまで、懸命に、繰り返し水をかけ続けなければなりません。同じく、心の炎の鎮火においても、「気付き続けること」が大切です。懸命に、繰り返し「気付き続ける」ことが重要です。
「気付き続ける」ための、コツがあります。スポーツの実況中継のように、自分の心に起きる状況を実況中継するのです。「あ、今、ムカついた」「ああ、今、怒りが大きくなってきた」「おお、今、無性に反論したい、相手を怒鳴りつけたい」と、自分の心に生じてくる感情の起伏を、あたかも他人の心を眺めているかのごとく、実況中継するのです。
人間ですから、怒りが生じてしまうのは、仕方ありません。けれども、怒りを放置しておくと、大切な人間関係を台無しにしてしまうだけでなく、チャンスを奪い、仕事のパフォーマンスを下げ、免疫力を低下させて、心身の病気にかかりやすくなってしまいます。消火のカギは、初期消火。できるだけ早く火に気付き、消火することが大切です。
しかし、もっとも大切なことは、できるだけ火をつけないように、普段から火防の意識を持つこと。可燃物である「自我」に気付いていること。熱である「怒り」に気付いていること。自らの言動に気をつけて、他人の自我に火をつけないこと。
これから、本格的な冬が到来します。冬は空気が乾燥して、火事が発生しやすくなる季節です。物理的な火はもちろんのこと、心の火の管理にも、気をつけたいものですね。
著者:大愚元勝(たいぐ げんしょう)
佛心宗大叢山福厳寺住職。株式会社慈光マネジメント代表取締役。慈光グループ会長。僧名「大愚」は、大バカ者=何にもとらわれない自由な境地に達した者の意。駒澤大学、曹洞宗大本山総持寺を経て、愛知学院大学大学院にて文学修士を取得。 僧侶、事業家、作家・講演家、セラピスト、空手家と5つの顔を持ち、「僧にあらず俗にあらず」を体現する異色の僧侶。
HPにて「お悩み相談」を受け付けているほか、YouTubeチャンネル「大愚和尚の一問一答」で国内外から寄せられた相談にも対応する。著書『苦しみの手放し方』(ダイヤモンド社)、『最後にあなたを救う禅語』(扶桑社)、『人生が確実に変わる 大愚和尚の答え』(飛鳥新社)など。
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