無難になりがちな社内行事で「ディスコ」と「壁ドン」 今こそ必要な「エンタメ転換」のススメ:必要なコミュニケーションとは(5/5 ページ)
筆者は、今のビジネスには「エンタメ転換」の発想が必要だと主張する。老舗企業の社内行事で「ディスコ」と「壁ドン」が“熱狂”を生んだケースを例に解説する。
企業と顧客のコミュニケーション
ここまで紹介したグッドコミュニケーションの重要性は、企業と顧客の関係にも当てはまります。
私は、30年来メディアに携わり続けてきました。ネットやSNSの浸透によって、世の中のコミュニケーションスタイルが変化してきたことを肌で感じてきました。最近は「人々の“自分主役意識”」が高まっていると考えています。
これまでは、企業が顧客を「収益を上げる対象=マーケット」として捉え、「どうしたら売れるのか?」というマーケティング戦略を実行してきました。しかし、こうした「企業軸」のビジネススタンスは通用しない時代になってきています。
また、情報があふれ、いくらでも気軽にコミュニケーションができる時代だからこそ、「自分のことを大切にしてくれていることを実感できる」コミュニケーションへの欲求が高まっています。
グッドコミュニケーションの基本は、「相手を楽しませたい」「幸せにしたい」という姿勢です。
エンタメの世界では当たり前のその姿勢で、顧客を企業にとっての「楽しませる存在」「幸せにすべき存在」として捉える。そして、常に顧客の心に響く「コミュニケーションを生み出す場や形とは」を考え、実行する。
そのような「エンタメ姿勢と視点」こそが、これからのビジネスコミュニケーションのカギなのです。
顧客が「ありがとう」と言ってお金を払ってくれる、そんな「最高消費」をエンタメ転換によって生み出して行きましょう。
【2021年12月1日午後5時00分 一部表記を修正しました】
著者プロフィール
金田有浩(かねた ともひろ)
≪株式会社サイコー!代表 “脳ミソで汗をかく!”をポリシーに、コンテンツ制作から新規事業開発まで、あらゆるテーマを「エンタメ視点」で捉え、企画を生み出し具現化するプランニングプロデューサー。大学を卒業後日本テレビに入社。20年間の在籍中「マネーの虎」「とんねるずの生ダラ」「ロンQハイランド」「行列の出来る法律相談所」など、数々のバラエティ番組をプロデュース。その後、NHN Japan(ハンゲーム)に転職後LINEを経て独立。
自ら立ち上げた「株式会社サイコー!」(東京都渋谷区)では、30年にわたるメディアを中心としたコンテンツプロデュースの経験を生かし、番組の企画やプロデュースにとどまらず、エンタメコンテンツ創りの知見を生かしたビジネスコミュニケーション創造、新規事業開発のコンサル・プロデュースに行政と組んでの地域創生プロジェクトまで幅広く活動。
現在のMyプロデューステーマは、“50代の為のプレミアムエンタメ体験創出”と“昆虫エナジーで人と地球の美しい未来を創るSDGs活動”。ご興味のある方は是非ご一緒に!
ちなみに、社名を漢字で書くと「最考」です。
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