無難になりがちな社内行事で「ディスコ」と「壁ドン」 今こそ必要な「エンタメ転換」のススメ:必要なコミュニケーションとは(4/5 ページ)
筆者は、今のビジネスには「エンタメ転換」の発想が必要だと主張する。老舗企業の社内行事で「ディスコ」と「壁ドン」が“熱狂”を生んだケースを例に解説する。
壁ドンをした真意
ゲストとして、売り出し中のイケメンアイドルユニットに来てもらいました。このメンバー、実は全員がいわゆる「おなべさん」で、とても美形です。そして、アイドルユニットのメンバーに、抽選で「壁ドン」をしてもらえるコーナーを設けました。こちら、今だからバラしてしまいますが、隠れた狙いがありました。当時、初の女性役員が誕生し、この方の人となりや、素顔の魅力を広く社員に知ってもらおうという企画でした。そして、抽選でその役員の方が当たったのは、バラエティの神様の思し召しですね、きっと。
こうしたバラエティの仕掛けによって生まれたフラットなコミュニケーションを、「一体化」に昇華させる「興奮」を生み出したのが、2つ目のキーワードである「音楽」による「80'sディスコタイム」です。
年配社員にとっての「青春の名曲」を次々とかけることより、社長をはじめとしてさまざまな世代の社員が入り混じりました。そして、お立ち台に乗って大いに盛り上がりました。やはり音楽の力というのは偉大です。
また、これら“狂乱”のコーナーに加えてもう一つ、同社の看板商品のWeb CM出演者を、社員投票で決める選挙を実施しました。
この選挙には、前出のアイドルユニットとは別のユニットも参加しました。計2組のアイドルユニットが出演し、そのライブパフォーマンスを見て、イベントに参加した全社員の投票によってCM出演者を決定しました。普段CM業務とは関わりの無い製造部門の社員などが、「自分たちがキャスティングに携わる体験がまさかできるとは!」と「興奮」しました。その姿を見た宣伝部のメンバーは、自分たちの仕事の重要さと責任の重さを改めて痛感したそうです。
イベント翌日、このパーティの責任者の方は、社内の廊下で多くの社員から「あんなイベント初めてだったよ!」と声を掛けられたといいます(知り合いだけでなく、今まで交流の無かった社員からも)。
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