コストコと並ぶロードサイドの“雄” 知る人ぞ知る鮮魚チェーン「角上魚類」が急成長している理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(1/5 ページ)
関東を中心に22店を展開する鮮魚専門店の「角上魚類」。コロナ禍でも業績が伸び続け、1日に1万人もの顧客が訪れる店舗もある。強さの秘密を創業者に聞いた。
「角上魚類(かくじょうぎょるい)」は、日本海の港町である新潟県寺泊町(現・長岡市)発祥で、現在は関東の“海なし県”を中心に店舗網を広げ、22店を展開する鮮魚専門店だ。グループを統括する角上魚類ホールディングスの売上高は394億4124万円(2021年3月期)。前年同期の353億1964万円から11.7%増と、2桁成長を達成した。
1店舗あたり年間約18億円を販売。コロナ禍を跳ね返す好調ぶりだ。
好調の要因は何か。居酒屋など業務用の売り上げが長野県や群馬県の店舗で落ち込んだものの、総菜・弁当が全店にて好調で、コロナ禍前より3割ほど伸びた。また、これまで角上魚類に来たことがなかった新規顧客の来店が増えており、そのままリピーターとして定着している。
同社のスマートフォン向けアプリには累計17万5000人超が登録しており、毎月1000人のペースで登録者が増えている。各店長がその日のおすすめを発信しており、買物の参考になるようにしている。
同社の旗艦店舗は、主に高速道路のインターチェンジ付近のロードサイドに立地し、売り場面積だけで120〜130坪と広い。
新潟や東京・豊洲の魚市場で、毎朝バイヤーたちが買い付けた鮮度抜群の魚介類が、その日のうちに店舗に並ぶ。50種類以上と鮮魚の魚種も豊富。中間流通が省かれているため価格も安い。無料で購入した魚の身おろしもしてくれるので、家で魚をさばく手間もかからない。
去る11月某日、東京都日野市にある店舗を訪問すると、大粒の「北海あさり」が100グラム120円、脂の乗った寺泊産「塩さば」が1枚130円、身おろしした北海道産「助宗だら」が1盛300円など、「今夜のおかずに使いたい」と顧客に思わせるようなものが売り場に並んでいた。
さらに、幻の魚といわれる日本海の珍魚「げんげ」1盛(7〜8匹)が200円、自家製の「蒸しあんこう肝刺身」が100グラムで400円など、お店にその日に来なければ滅多(めった)に手に入らない掘り出し物もあり、宝探しをするようなワクワク感を提供している。
寿司、弁当、刺身、天ぷら、フライなど、店内調理で提供する総菜や弁当コーナーの商品も豊富だ。「にぎり寿司10貫」が中トロ入り1080円で、総菜・弁当で一番人気となっている。サイズの大きなえび天が3本入った「えび天重」(620円)もお得感が強い。なお、具体的な商品の内容や価格は、その日の水揚げによって変わる。
魚市場を彷彿(ほうふつ)とさせる店内は活気がある。鮮度抜群かつ安価で品ぞろえ豊富な魚介類を求め、1〜2時間車を走らせてやってくる常連客も多い。そのため、角上魚類はイオンモール、ららぽーと、アウトレットモール、コストコなどと並ぶ、ロードサイドの主要プレーヤーの1つとなっている。1日に1万人もの顧客が訪れる店舗もあるほどだ。
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