「俺らの時代は」を繰り返す“ノスタルジックおじさん”が、パワハラ上司になりやすいワケ:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
突然だが、「ノスタルジックおじさん」をご存じだろうか。いや、知らないはず。なぜなら、筆者(窪田氏)の造語だからだ。その「ノスタルジックおじさん」が、パワハラ上司になりやすいと指摘しているが、どういう意味なのか。詳しく見てみると……。
「世代間連鎖」という現象
こういう「パワハラ文化」の洗礼を若いころにたっぷり受けた人は、自分が管理職になると部下にパワハラをする。表向きは、「パワハラ防止研修」などを受けているが、心の奥底で、自分をここまで成長させてくれたパワハラの効果を認めて「必要悪」だと考えているので、何かのきっかけでそれが表面化したり、周囲にバレないような陰湿なパワハラに傾倒していくのだ。
このような話を聞くと、不快になる40〜50代のビジネスパーソンも多いかもしれない。「確かにオレも若いころはパワハラなんて当たり前の時代に育ったけど、それを当たり前だなどと若者に押し付けてないぞ、勝手に決めつけるな!」というお叱りもあるだろう。
もちろん、すべての人がこうなるなどと言っているわけではない。ただ、「ノスタルジックおじさん」がやっかいなのは、自覚症状がなくパワハラをしてしまう点にあるのだ。人は自分が受けた仕打ちを無意識に肯定してしまう。それがどんなに悪いことであったとしても良かれと思って次の世代に繰り返す、「世代間連鎖」という現象があるのだ。
その代表が「体罰」だ。
ご存じのように、日本では「体罰」は立派な文化として定着している。欧米では、親が子どもに手を挙げただけで、児童虐待の罪に問われる国もある中で、親も部活の顧問も「言っても分からないやつは殴ってよし」と手を挙げる。
「時に殴ってあげるのが愛!」「痛みを分からせることも教育だ!」という考え方が社会に定着している。なぜこうなるのか。伝統だ、文化だ、なんだといろいろなご意見があるが、実は「世代間連鎖」によるところも大きい。
要するに、幼いころから何らかの形で親や教師から殴られて大きくなった人が多いので、自分たちの子どもにも自然に手を挙げてしまう。「オレらも殴られて育ったんだから、ちょっとくらい殴るのは当然」という考え方で次世代が殴られ、そしてまた次の世代も殴られる、という体罰のエコシステムが確立しているのだ。
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