マネフォ、社内向けAIチャットボット買収でUX向上とクロスセル狙う
マネーフォワードは11月30日、人事労務などの社員からの質問に答えるAIチャットボットを運営するHiTTO(東京都千代田区)を買収し子会社化すると発表した。20億円をかけて全株を取得する。
マネーフォワードは11月30日、人事労務などの社員からの質問に答えるAIチャットボットを運営するHiTTO(東京都千代田区)を買収し子会社化すると発表した。20億円をかけて全株を取得する。
HiTTOが提供するチャットボットは、人事労務、総務などのバックオフィスに特化していることが特徴だ。「有給の残日数を確認したい」「社宅の入居条件は」といった社員からの問い合わせに自動的に返答する。「FAQデータやシナリオの作成も必要ない。運用がスタートしてから精度を保つための作業も削減されている。導入、運用ハードルが非常に低い」と、Co-CEOの五十嵐智博氏は強みを話す。
利用従業員数は30万人を超え、導入企業の6割以上が東証一部企業であるなど、大手企業への導入が多い。社内向けAIチャットボット市場においては、約3割のシェアを持つ。
労務向けマネーフォワードSaaSとのクロスセル、経理、法務などへの展開も
マネーフォワードは人事管理や勤怠などの労務向けSaaSのラインアップを拡充しているが、ここにHiTTOを組み合わせることで、ユーザー体験の向上を見込む。「頻繁にHR系のイベントが起こるわけではないので、手続きの機能はあっても、例えば産休に入るとき、そもそも何の手続きをすればいいのか、多くの社員はどんな手続きが必要なのかは分からない」と、ビジネスカンパニーCSOの山田一也氏は話す。
HiTTOとマネーフォワードのSaaSを組み合わせることで、手続きに必要な申請のURLをチャットボットが案内するなど、利便性を向上させる。さらにIDを連携させることで、HiTTO側で勤怠SaaSにアクセスし、有給の残日数を案内することも可能になる。
大手企業を中心に導入されているHiTTOに対し、マネーフォワードは中小中堅企業を主力としているため、異なる顧客基盤に向けて相互のクロスセルも進める。「中小企業でも専属の労務担当がいなくて、なかなか質問対応がさばけていない」(山田氏)と潜在的なニーズはあると見込む。
労務領域は競合企業も多く、マネーフォワードとしてはHiTTOを取り込むことで、差別化を狙う。
今後は、労務だけでなく、マネーフォワードの主領域である経理や、法務、情報システム部門向けにもチャットボットを展開していく考えだ。
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