紙で保存しなくてもOK 電子帳簿保存法対応の無料書類保管サービス続々(2/2 ページ)
2022年1月に施行される改正電子帳簿保存法。この法改正によって、波紋を呼んでいるのが同時に実施される「電子取引の紙保存禁止」だ。こうした状況の中、複数社が、受け取った電子取引書類を、国税が求める検索要件に従って保存できる無料サービスの提供を始めた。
LayerX、マネーフォワード、freeeが無料の改正電帳法対応の保管サービス
こうした状況の中、クラウド会計ソフトや請求書受領サービスを提供する複数社が、受け取った電子取引書類を、国税庁が求める検索要件に従って保存できる無料サービスの提供を始めた。国税関係書類をすべて電子化するには、何らか対応した会計ソフトが欠かせない。無料サービスを入り口に、最終的に自社のサービスを導入してもらおうという狙いだ。
請求書受け取りサービス「LayerXインボイス」を提供するLayerXが、無償でのサービス提供に踏み切ったのが「LayerX電子帳簿保存」だ。請求書の保存だけでなく、領収書、発注書、見積書、納品書などのすべての形式の国税関係書類の保存に対応しており、月間500件までのデータアップロード、月間5件までのOCR利用が可能になっている。
「『請求書を電子で受領すると、電子帳簿保存用の製品を入れないといけないので高くつく、電子でもらうのは嫌だ』となってしまうと非常にまずい。本来、紙を捨てやすく、電子で保存しやすく——が法改正の趣旨だったはず。なのでわれわれは無料提供を決めた」と、同社の福島良典CEOはブログで趣旨を記している。
もう1社、無償での保管サービスを提供するのがクラウド会計ソフトを提供するマネーフォワードだ。「クラウドBox」の名称で、件数、期間、人数などの制限なく利用できる。マネーフォワード利用者でなくても利用可能だ。
現時点ではOCR機能がなく、書類はアップロードできるものの必要項目は手入力しなくてはならない。ただし、22年春にはOCR機能も提供する予定としている。
クラウド会計ソフトの電子帳簿保存法完全対応を発表したfreeeは、「ファイルボックス」の無償提供を22年1月から始める。画像ファイルやPDFファイルなどを簡単にアップロードでき、記載された内容は自動的にOCRによってデータ化される。
利用できる枚数は月間100枚までだが、同社の会計ソフトのユーザーの利用状況から十分な量だと判断したという。取り込んだデータは改正電帳法の要件に沿った保存方法になる。ただし、現時点ではfreee会計のユーザーだけが対象で、利用にはfreee会計へのサインアップが必要になる。freee会計には無料の試用期間もあるが、それを過ぎるとファイルボックスも利用に制限がかかる。同社では、この点の緩和措置も検討しているという。
電子帳簿保存法への対応を支援するサービスは、そのほかにもオービックの「奉行Edge証憑保管クラウド」やDeepworkの「invox 電子帳簿保存」、NTTデータの「ClimberCloud」などが有償で提供している。
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