インタビュー
30万円「象主」の権利は完売 コロナ受け入れたJR東海が描く次の一手:観光復活夜明け前(4/5 ページ)
JR東海が、11月から新たなキャンペーン「推し旅アップデート」を展開するなど、積極的なPR姿勢を示している。現在は『秋のしずおか元気旅』の名称で静岡県を重点エリアとして展開中だ。担当者に狙いを聞いた。
サウナーの聖地「しきじ」のコラボタオルも
他にも、「サウナーの聖地」といわれる「サウナしきじ」で駅名標を模したオリジナルコラボタオルがもらえるプランや、東海道新幹線のデザインが施された御城印がもらえるプランなど、JR東海ならではのコンテンツも盛り込まれている。
信長も秀吉も家康も飲んだ「幻の酒」
「推し旅アップデート」キャンペーンでは、「幻の酒」に光を当てた。
これは伊豆韮山に居を構えた江川家が醸造していたお酒で、北条早雲が「江川酒」と名付け、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康も嗜んだ。有名な「醍醐の花見」でも振る舞われ、戦国大名を魅了した名酒である。
江戸時代中期に醸造が途絶えていたものの、コロナ禍の2020年5月に重要文化財「江川邸」にて、江川酒の醸造方法について記した「御手製酒之法書」が発見され、約320年ぶりに江川酒が復活した。
わずかながらの生産量のため、一般流通はしていないものの、今回の「推し旅アップデート」プランでは、この「幻の酒」を味わえるようにした。加えて、重要文化財・江川邸にて、「御手製酒之法書」を発見した学芸員から同書や文化財保護の取り組みについて解説を受けられる。
ちなみに来年度は、酒米の田植え、稲刈りはじめ、江川酒の醸造そのものに携われるプランに「アップデート」されるという。
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