首都圏の鉄道で“似たような車両”が増えている「なるほど」な事情:共通化がもたらす意味とは(1/4 ページ)
「首都圏では似たような感じの車両が増えている」と思ったことはないだろうか。JR東日本を中心として東急などの多くの車両は、共通のプラットフォームで作られている。その理由は……。
11月24〜26日、幕張メッセで「鉄道技術展」が行われていた。鉄道に関するさまざまな技術を提供する企業が多く出展しており、未来の鉄道システムの見本市といった印象を感じさせられた。
鉄道は鉄道事業者に限らず、さまざまな関連事業によって成り立っている。その中で、車両メーカーは大きな存在である。
従来、車両メーカーは鉄道事業者の考えた仕様のものを製作していればよかったものの、近年は鉄道車両の製作にも、コスト削減が求められるようになった。
一方で、国鉄からJRになり車両の種類が増え、また私鉄などもよく新車を登場させるようになると、そのぶんの開発費用が問題視されるようになった。
そんな中で進んだのが、鉄道車両メーカー主導で制作する共通規格の車両だ。「最近、首都圏では似たような感じの車両が増えている」と思ったことはないだろうか。
総合車両製作所が提案する「sustina(サスティナ)」
首都圏でもっとも大きな路線網を持つJR東日本だけではなく、東急電鉄や相模鉄道、京王電鉄、都営地下鉄、意外なことにオリジナリティを重視する京急電鉄でも、似たような規格の車両が増えている。塗色も違う、内装も違う、だけどなんだか似ている。しかし違う。
それは首都圏だけではない。しなの鉄道や静岡鉄道でもなんだか東京の電車と似た雰囲気の車両が走っているなあ、と思われた人もいるかもしれない。
タイのバンコクの都市鉄道でも、同じような車両を見ることができる。都市鉄道パープルラインン(正式名称 チャローン・ラチャタム線)には、同様の技術を使用した車両が見られる。フィリピンの南北通勤鉄道にも導入されている。
共通しているキーワードは、「sustina」。総合車両製作所が提供する、オールステンレス車両のブランドである。ある服のブランドが、さまざまな服を作っていても、どこか共通の雰囲気が感じさせられるのと似ているというと、分かりやすいのではないだろうか。
「sustina」とは、ステンレス鋼材を示す「SUS」、美観について、維持しやすいという意味の「sustainable」に、地球を救う女神を示す語尾「-ina」を組み合わせたものである。
JR東日本を中心として東急などの多くの車両は、このブランドの車両となっており、車内にも表示されている。
「sustina」とは、どんな車両システムなのか?
関連記事
- 次の「新幹線」はどこか 計画をまとめると“本命”が見えてきた?
西九州新幹線開業、北陸新幹線敦賀延伸の開業時期が近づいている。そこで今回は、新幹線基本計画路線の現在の動きをまとめてみた。新幹線の構想は各県にあるが、計画は「建設を開始すべき新幹線鉄道の路線を定める基本計画」として告示されている。これと費用便益比、各地のロビー活動の現状などから、今後を占ってみたい。 - 2025年の大阪・関西万博で、鉄道の路線図はどうなるのか
2025年に大阪、夢洲で「2025年大阪・関西万博」が開催される。政府は主要公共交通機関に大阪メトロ中央線を位置付けた。このほか会場へのアクセスには船とバス、さらに具体化していない鉄道ルートが3つ、近畿日本鉄道の構想もある。また会場内の交通には、3種類のモビリティが計画されている。 - 中央快速線E233系にトイレ設置、なんのために?
JR東日本の中央線快速で、トイレの使用が可能になることをご存じだろうか。「通勤電車にトイレ?」と思われた人もいるかもしれないが、なぜトイレを導入するのか。その背景に迫る。 - 全国に39拠点もあるのに、なぜ“三島のホテル”利用が多かったのか 東急「ツギツギ」の結果
東急が提供している、定額制回遊型住み替えサービス「TsugiTsugi(ツギツギ)」が話題になっている。全国のホテルを転々としながら暮らすことができるわけだが、利用した人のデータを見ると、ちょっと気なることがあった。泊まったホテルの上位に……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.