セキュリティ企業が製作する連ドラ『Project 2030』が誕生した理由:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
トレンドマイクロ社が連ドラ『Project 2030』を配信している。なぜセキュリティベンダーがドラマを手掛けているのか。その理由は……。
『Project 2030』というドラマシリーズをご存じだろうか。
このドラマは2030年を舞台に、架空の国である「ニュー・サン・ジョバン」で起きる混乱を描いたものだ。
全9話のシリーズで、21年11月29日に第1話が始まったばかり。シリーズはまだ続いており、この記事が掲載される12月16日には「エピソード6」が公開される予定だ。最終話は12月27日に公開予定である。
ここまで視聴したところ、かなりクオリティが高く、見始めると引き込まれて一気に見てしまう。ただこのドラマ、NetflixやAmazon Prime Video、Huluといった人気動画配信サービスで視聴できない。
実は全シリーズ無料で視聴できるのである。しかも驚くことに、製作しているのは、日本のITセキュリティベンダーであるトレンドマイクロ社。同社の特設サイトで最新エピソードまですべて視聴が可能だ。ドラマのタイトルは『Project 2030』である。
セキュリティベンダーがドラマを制作する理由
なぜ、サイバーセキュリティのベンダーがこんなドラマを製作しているのだろうか。理由は、このドラマが、近未来の「セキュリティ」をテーマにしているからだ。
ネタバレしない程度に説明すると、このドラマは、トレンドマイクロ社が予測する2030年の社会情勢や市民生活を描写しながらストーリー展開していく。
30年の世界では、例えば、眼に装着したウェアラブルなデバイスで、デジタル上の家族や友人と会話ができる。さらに、自宅には4Dプリンタなるものがあり、食料品を「印刷」すらできる。
つまりそこには、かなり高機能化し、統合化された社会が広がっている。人工知能、拡張現実、コネクティビティ――そうしたテクノロジーによって発展した未来の社会が垣間見られるのだが、便利さには、必ずと言っていいほど安全性などでリスクが伴う。デジタル空間のセキュリティリスクである。
それは今の時代も同じだ。そこに、トレンドマイクロ社のような企業が、セキュリティを提供していくことになる。
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