「仕事が楽しい」の“楽しい”とは何か 「楽しい仕事」とはどんな仕事なのか:「快」と「泰」のキャリア考(1/6 ページ)
ひとくちに「仕事が楽しい」と言っても、それが「情」寄りで楽しいのか、「意」寄りで楽しいのか性質の違いがあります。生産年齢者として50年、人間として100年生きるとき、この「情」ベースから「意」ベースへ、「快」の追求から「泰」の志向へのマインド・シフトともいうべき意識転換が重要ではないでしょうか。
著者プロフィール:村山昇(むらやま・のぼる)
キャリア・ポートレート コンサルティング代表。企業・団体の従業員・職員を対象に「プロフェッショナルシップ研修」(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)を行なう。「キャリアの自画像(ポートレート)」を描くマネジメントツールや「レゴブロック」を用いたゲーム研修、就労観の傾向性診断「キャリアMQ」をコア商品とする。プロ論・キャリア論を教えるのではなく、「働くこと・仕事の本質」を理解させ、腹底にジーンと効くプログラムを志向している。
きょうは働くこと・キャリアを考えるうえで、「仕事が楽しい」とはどういう状態なのか、あるいは「楽しい仕事」とはどんな仕事なのかをあらためて考えてみたいと思います。
そこでまず、この「楽しい」という気持ち。これをよくよく見つめると、そこには性質的な幅があることに気がつきます。すなわち、幅の一方には「情的な楽しい」があり、他方に「意的な楽しい」があります。前者は一語で言うと「快」、後者は「泰」です。人が感じる楽しいは、このような性質の異なる楽しいが、複雑な階調をなしてつながっています。先に結論的なことを書きますと――。
「情的な楽しい/快」は、刺激的だけれども不安定。
「意的な楽しい/泰」は、じんわりと心を押し上げ安定的。
ではそのあたりを、私が行っている「キャリア・ウェルネス・ワークショップ」の講義スライドを何枚か見せながら説明してまいりましょう。
[講義スライド1]
例えば、ここに2つの「楽しい活動」をあげました。まず左側。海外旅行で豪華ディナーを食べています。これはまさに至福の時で、快い気分に浸れます。何もかも給仕してくれるので楽(ラク)です。感覚的な悦びに満たされるとき、人は「情の楽しさ」を得ます。
他方、右側。発展途上国で医療に関わる活動です。これは決して楽(ラク)ではありません。大変なことばかりでしょう。しかし楽しい。魂の充実があるからです。自分の決意・志を具現化しているとき、人は「意の楽しさ」を得ます。
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