「仕事が楽しい」の“楽しい”とは何か 「楽しい仕事」とはどんな仕事なのか:「快」と「泰」のキャリア考(2/6 ページ)
ひとくちに「仕事が楽しい」と言っても、それが「情」寄りで楽しいのか、「意」寄りで楽しいのか性質の違いがあります。生産年齢者として50年、人間として100年生きるとき、この「情」ベースから「意」ベースへ、「快」の追求から「泰」の志向へのマインド・シフトともいうべき意識転換が重要ではないでしょうか。
[講義スライド2]
「楽しい」の2つの性質、すなわち「情的な楽しい」と「意的な楽しい」の特徴をまとめるとこのようになります。
端的には「快(かい)」状態か、「泰(たい)」の状態かの違いです。快は心地よく、気分がさっぱりした状態をいい、「爽快」「快適」など、軽やかな感じです。一方、泰はどっしりと太く落ち着いた状態をいい、「安泰」「泰然」など安定しているニュアンスです。
「情的な楽しい」も、「意的な楽しい」も人生には必要で、前者は生きるうえでの「華やぎ」、後者は生きるうえでの「滋養土」といったものだと思います。
[講義スライド3]
さらに両者の「楽しい」を比べてみましょう。「情的な楽しい」は、主に消費活動や娯楽活動で得られるものです。気分が和らいだり、高揚したりすることで、人を癒やしたり、踊らせたりします。
「意的な楽しい」は、主に創造活動や貢献活動から得られるもので、この楽しさというものは、人をつくり、育むことにつながってきます。
また、私たちは生きていくうえでいろいろ競争をしなくてはいけませんが、他者との比較競争で勝つ喜びや優越できる上機嫌のようなものがあります。これらは「情の楽しい」といえるでしょう。その一方、他者との競争・勝ち負けではなく、自分に克って、何かを成し遂げていく喜びは「意の楽しい」に属するものです。
ここでは、どちらの「楽しい」がよいか、わるいかを問うているのではありません。どちらも必要なものですし、私たちはこの2つの間を行ったり来たりします。見つめてみたいのは、どちらの活動・どちらの「楽しい」が自分の人生のベースになっているか、です。
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