「204円」弁当に「1080円」おにぎり! ハイレベルすぎるスーパー弁当の知られざる“進化”:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/5 ページ)
ディスカウントスーパーでは200円前後の超安価な弁当が存在する。商品開発に注力し、ハイレベルな弁当を開発する企業もある。知られざるスーパーのお弁当を取材した。
ネパール出身社員のカレー弁当
ダイキョープラザ(福岡市)は、お弁当・お惣菜大賞において、21年まで9年連続でいずれかの賞を受賞している。九州で“最強の弁当”が売りの企業だ。生鮮専門スーパー「ダイキョーバリュー」などを福岡県内に5店、長崎県五島列島に1店、それぞれ展開している。
19年には麺部門で福江店(長崎県五島市)の「ニンニク薫る五島つばき油めん」が最優秀賞を獲得した。通常はゆでて麺つゆにつけて食べるのが一般的だった五島名産「五島うどん」を、焼きうどんにしたものだ。
開発にあたっては、焼きそばを食べ歩いて研究を重ねた。ゆでたうどんを普通に炒めると麺がくっついて塊になってしまうが、五島名産の椿油で炒めると、麺がほどけることを発見。風味も向上した。このように、五島つばき油めんは、五島の食文化史を変える意義深い商品だ。なお、香りづけには、14年の惣菜部門準大賞受賞作である自家製の「にんにく味噌」を使用している。
21年には、弁当部門で五島の山海の幸をたっぷりのっけた「五島を食べる本気ののり弁」が入選した。また、おにぎり部門では、五島「塩工房つばき窯」の塩職人・山田等氏の天然塩を味わう「五つの味の塩おにぎり」が入選している。五島発の弁当は、同社ならではの名物となっている。
また、弥永店(福岡市)の売りの1つに、本格的なネパール料理の弁当がある。開発には、ネパール出身の同社の社員、コイララ・カマル氏が携わっている。20年7月より「コイララカレー」を出し始め、水曜に販売(今年は終了)。毎回完売になる人気となっている。お昼前に売り切れる日もあるほどだ。カレーの種類は、チキン、マトン、ダル(豆)が中心で、ダルの種類はいろいろ変わる。その日のメインのカレーに、4〜6種の和え物などのおかずを入れて作るカナセット(弁当)を出している。
弥永店では、専門店も顔負けの12尺分もの非常に充実したスパイスコーナーを作っている。また、バスマティライスなど長粒米も10種類ほど品ぞろえしている。そのスパイスと長粒米を使ってカレーを数種類作っており、人気の商品となっている。
さらに同社では、元西鉄グランドホテルシェフで、フランス料理界最高の名誉とされる「ディシプル・ド・オーギュスト・エスコフィエ」の称号を持つ、青野清彦氏が店舗を巡回して実演販売を行う。商品は、海老クリームコロッケ、ハンバーグ(5種のソース)、チキン南蛮、ハヤシライス、ローストビーフなどがあり、品数も豊富だ。弁当も多数そろえており、電話やSNSでの問い合わせが多い人気商品となっている。
「日曜朝市」と「木曜夕暮れ市」を2枚看板に、年末のアメ横かと思うほどの集客を誇るダイキョーバリュー。弁当・総菜売り場は10坪ほどのスペースで、直営総菜部の売り上げ構成比は8%を占める。弁当は25〜30種類を販売。最も売れるのは、スタンダードな「焼鮭弁当」で、月間約45万食が出る。弁当の平均単価は438円となっている。
同社では、9年も連続でお弁当・お惣菜大賞に入賞できた理由として「日々おいしいものを作ることを考え、地元の食材でお客さまに食べてもらいたいものを追求している。出来上がった商品からさらに意見を出し合い、改良して出品しているからではないか」(弥永店・浦田一延店長)としており、美食に対する姿勢の違いを強調した。
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