「204円」弁当に「1080円」おにぎり! ハイレベルすぎるスーパー弁当の知られざる“進化”:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
ディスカウントスーパーでは200円前後の超安価な弁当が存在する。商品開発に注力し、ハイレベルな弁当を開発する企業もある。知られざるスーパーのお弁当を取材した。
2.5キロの爆弾おにぎり
さて、激安路線の方に目を転じてみよう。
埼玉県内に4店を構えるマルサン(埼玉県越谷市)が展開する「スーパーマルサン」は、「まる弁」という270円の激安弁当が売りのディスカウントスーパーだ。店舗ごとに品ぞろえは異なるが、越谷花田店(埼玉県越谷市)の八木栄樹店長によれば、まる弁の種類は同店でも30種類くらいあるとのこと。総菜・弁当売場にずらりと並んだ光景は圧巻だ。
越谷花田店では、まる弁は1日に300〜500個が売れる。全て店内の手づくりなので、担当者は午前6時に出勤して準備を進める。
常時、十数種類の弁当が270円で販売されているが、売れ筋は「サバ弁当」「鮭弁当」「唐揚弁当」「和風ハンバーグ弁当」あたりだ。天丼やカツ丼も270円。サバ弁当の場合、大きな切身のサバの塩焼だけでなく副菜、漬物が入り、ご飯もしっかりと分量がある。
「正直、まる弁では利益は出ていないが、まる弁を目的に来てもらって、他の商品を見てもらいたい。お店全体で売り上げを出す考え方」と八木店長。薄利多売で、地域の顧客に喜んでもらって、末永く愛される店にするための集客装置としてまる弁を位置付けている。
その成果があって、特に休日にはオープン前に長蛇の列ができる人気スーパーとなった。
同店の新しい名物が、超特大サイズの「爆弾おにぎり」(1080円)。2.5キロもの重量があり、まるで鏡餅のようだ。通常のおにぎりの10個分以上の大きさがある。しかも中には、ロースカツ、唐揚げ、ひじき煮など8種類以上の具材が入っている。食べる時はホールのケーキのように包丁で切り分ける。
もともとは、メガ盛りを売りにした桶川店(埼玉県桶川市)の名物。今年7月にこのおにぎりがテレビ放映され、越谷花田店にもないのかと顧客からの問い合わせが相次ぎ、8月から提供し始めた。
ボウルにラップを敷き、その上にご飯を盛り、具材を入れて、ご飯を被せ、上にのりを張る。さらに裏返してのりを張り、丸く成型する製法に到達。担当の吉田禎寿氏は、今では5分くらいで1個を作れるまでにスピードアップした。
週末を中心に販売し(予約可)、売れるのは最高でも1日に10個くらいだが、子どもたちにとても喜ばれている。また、遠方からわざわざ爆弾おにぎりを買いに来る人が後を絶たず、客層が広がった。
「爆弾おにぎりを見に来てもらえるだけでも、並べて置く価値がある」と八木店長は、新たな名物の誕生に満足げだ。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。 - 「100円×3個=301円」問題でセブンが公式に謝罪 見習うべきは「イオン方式」か
「税込100円×3個=301円」問題で混乱が起きたセブン。お客が困惑した根本原因は事前告知が不足していたことだ。ただ、イオンが採用する価格表記を採用する道もあったかもしれない。 - ファミマが発売した「356円弁当」は、どうなった? 担当者に聞いて分かった“意外”なニーズ
ファミリーマートは9月、新たな弁当シリーズ「ファミマトクトク弁当」を立ち上げた。第1弾として「タルタル鶏天丼」と「直火焼チャーシュー丼」(いずれも356円)を発売。計画通りに売れたのか? - コンビニ弁当の価格が“三極化” セブンは「270円」を投入、ミニストップは「599円」が好調
500円前後がボリュームゾーンだったコンビニ弁当の価格帯が広がっている。大手は200円台や300円台のミニ弁当を相次いで発売。一方、ミニストップは599円という高額の弁当が売れている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.