日本は遅れてる!? 中学受験ドラマ『二月の勝者』をきっかけに考える、教育とビジネススキル:背景を考察(5/5 ページ)
中学受験を扱った『二月の勝者〜絶対合格の教室〜』がドラマ化された。新しい時代に対応した問題を出す中学・高校が増えているという。教育の観点からこれからのビジネススキルを考察する。
予測不可能な現代を生き抜く
今年の東京オリンピックを振り返ると、自国開催ということもあってメダルラッシュとなり大いに盛り上がったと思う。特に、若い世代の活躍が目をひいた。私だけの印象かもしれないが、かつての日本は、世界選手権で優勝するような選手がオリンピックで金メダルを取れないことが多かったように思う。日の丸の重圧に負けた、オリンピックの独特な雰囲気にのまれた、などいろいろ理由はあったが、本番で世界記録を出す外国人選手に比べてメンタルの弱さが際立っていた印象だ。それがここ数回のオリンピックでは、本番でこそ力を出す日本人選手が増えてきたように思う。それは、ライフスキルがスポーツの現場に定着してきたことと大いに関係があるのではないかと私は考えており、この分野での実証研究を待ちたい。
21世紀型スキルであれ、ライフスキルであれ、解がなく予測不可能な現代でパフォーマンスを上げるのに非常に参考になるものだと思う。次世代を生き抜くための「正しい努力」を行う指針といってもよい。このスキルを、受験を含む学校教育の場に早期に広げるべきであるが、お役所が絡むことでありスローである。だからといって手をこまねくのではなく、日々解のない状況で奮闘しているわれわれビジネスパーソンがその実践をもって、職場では後輩や新人たちに、そして家庭では親として子どもたちに教えていきたいものである。
著者プロフィール
桂木麻也
インベストメント・バンカー。メガバンク、外資系証券会社、国内最大手投資銀行等を経て、現在は大手会計会社系アドバイザリーファームに勤務する。ASEANでの7年に及ぶ駐在経験から、クロスボーダーM&A及び、ASEAN財閥の動向について造詣が深い。慶應義塾大学経済学部卒、カリフォルニア大学ハーススクールオブビジネスMBA保有。
著書に『ASEAN企業地図 第2版』や『図解でわかるM&A入門』(いずれも翔泳社)がある。
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