2022年、最も注目すべきは“ビッグボス”新庄! 日ハムにもたらされるすさまじい「経済効果」とは:野球は“オワコン”じゃない(3/5 ページ)
“ビッグボス”新庄さんが日ハム監督に就任した。筆者はプロ野球ビジネスにとっても良い影響があると指摘する。日ハムの地域密着戦略とともに解説する。
ビッグボスは格好のアイコンとなる
このような中で、“ビッグボス”新庄さんが日ハム監督になりました。新庄さんが監督に就任するというニュースは大きな話題となり、日本中を沸かせています。
ではなぜ、日ハムは新庄さんをチーム監督に呼び寄せたのでしょうか。稲葉GMが監督ではだめだったのでしょうか。戦術的な面は野球評論家に任せるとして、ここでは球団の戦略面からその狙いと効果を考えたいと思います。
まず、プロ野球の球団別入場者数の推移を見てみます。
これを見ると、今も読売ジャイアンツ、阪神タイガース、福岡ソフトバンクホークスの3球団に図抜けた集客力があることが分かります。しかも阪神は全球団の中でトップの動員数であり、20年も6%以上伸ばしています。
日ハムは、パ・リーグではソフトバンクに次いで2番目ですが、両リーグでは7番目の数字です。16、17年は200万人以上の動員数で、16年には10年ぶりの日本一にもなりました。ただ、これ以降の動員数は減少傾向にあり、西武や楽天が徐々に迫ってきています。12年に大谷選手をドラフト1位指名してから移籍する17年まで、動員数を増やし続けました。しかし、大谷選手移籍と共に減少に転じてしまったのです。日ハムとしては入場者数減少に歯止めをかけたいと考えているのです。
日ハムは04年に本拠地を東京ドームから札幌ドームに移転しています。この年、ダルビッシュ選手をドラフトで獲得し、新庄選手が日ハムに加入しました。メジャーから復帰した新庄選手の魅せるプレーやかぶりもののパフォーマンスが女性ファンをひきつけ、引退する06年には日本一にもなっています。翌年もリーグ優勝を果たしました。年間主催試合の観客動員数は06、07年と2年連続で前年より20万人以上増やしました(05年:136万人、06年:160万人、07年:183万人)。「新庄劇場」という言葉が生まれるほど、その活躍に注目が集まったのです。
実は新庄選手が日ハムの救世主であり、今回もその効果に期待を寄せているのです。
2日間のメディア露出で105億円の広告換算価値
では、ビッグボス新庄効果は一体どの程度のインパクトがあるのでしょうか。
関西大学の宮本勝浩名誉教授の試算によると、ビッグボス効果で北海道内において約54億円の経済効果が見込まれるとしています。
動員数も19年度で197万人ありましたから、入場制限などがなければ200万人を超えるのは間違いないでしょう。しかも、ビッグボスは女性ファンが多いので、女性の入場者も増えるはずです。今回は事前の注目度も高いので、ある程度の実績を残せれば、グッズ販売なども含めて売り上げを大きく伸ばすことも可能です。日ハムファンではない筆者も、一度はビッグボスを球場で見たいと思うほどですから、新規顧客の動員も期待できます。
また、次のような試算もあります。新庄さんの監督就任会見から2日間のメディア露出を広告費に換算すると、約105億円の広告価値があるというのです(メディアの調査・分析を行うニホンモニター調べ)。
広告換算値はあくまでも推計ではありますが、露出量は実際の数値です。2日間でこれだけの露出がされていたという事実に驚くと共に、新庄さんの野球界を超えた広がりの可能性を感じるところです。大谷選手のような現役のビッグスターならいざ知らず、ここまでの期待を持って迎えられる監督はこれまでいなかったのではないでしょうか。このような情報拡散効果が新庄さんにはあるということです。
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