なぜ「34万円の壁」を超えられないのか 中小企業のボーナスに潜む経験則:21年夏季賞与の答え合わせ(1/3 ページ)
人気の記事「中小企業の今夏賞与の支給相場を予測する」の著者が、夏季賞与の結果を振り返り。過去10年間、中小企業の経常利益は増減を繰り返しているが、夏季賞与はほとんど連動せず、34万円を超えられないという「34万円の壁」が存在する。その理由は……?
筆者は、日本実業出版社『企業実務』2021年6月号に「中小企業の今夏賞与の支給相場を予測する」という記事を書き、ITmedia ビジネスオンラインにも掲載されました(記事はこちら)。そして厚生労働省が11月、夏季賞与の支給実績を発表しました。予測はどれほど当たっていたのか、著者として勇気がいることですが、精度を検証してみました。
夏季賞与に潜む「34万円の壁」
まず「調査産業計」(全産業)の支給額は、予測33万9000円に対して実績33万8240円で760円差、率にして0.22%の誤差でした。ほぼ的中したと言って差し支えないと自負しています。
予測の対象にしたのは従業員数30〜99人規模の企業の支給額です。この規模の企業の賞与は、09年、前年に起こった世界金融危機の影響を受けて、前年同期比で13%も減少しました。その後、GDPや企業業績が回復しても、人手不足感が顕著になっても、なぜか中小企業の賞与は増えませんでした。好景気でも増えなかった代わりに、不景気でも減らなかったのです。
東日本大震災があった11年も、コロナ禍の自粛ムードがピークに達していた20年も、中小企業の夏季賞与はわずかながら増えました(20年は年末賞与も増えました)。要するに景気に反応せず、狭い範囲での変動を繰り返してきました。
予測記事を書いた21年の春頃は、前年に比べればGDPも企業業績も相当回復してきていたので、まず方向としては増えるだろうと考えました。しかし中小企業の夏季賞与には「34万円の壁」ともいうべきものがあります。
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