「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」 両者を分ける“4つのスキル”とは?:“手探りマネジメント”はもうやめる(1/2 ページ)
日本企業はなぜ、「部下を育てられない管理職」を生み出してしまうのか。「部下を育てられない管理職」と「プロの管理職」を分ける“4つのスキル”とは? 転職市場で求められる優秀な管理職の特徴について解説する。
皆さんの会社では、「優秀な管理職(マネジャー)」といわれて思い浮かぶ人はいるでしょうか。日系企業だと多くの場合、新卒以来の1社経験で、長くその会社に在籍し、人脈と実績を積み上げてきた人がその地位に就いているかもしれません。
しかしながら、そういった人がいざ転職するとなった場合、思ったような企業に行けない、あるいは転職先ではその価値が発揮できず、短期間で離職につながってしまうというケースを、私自身、キャリアコンサルタントとして数多く見てきました。
一方で、転職回数も多く、経験している業界も多岐にわたっていながら、管理職としての価値を発揮し続けられる人もいます。そういった方々は、転職の中で着実にポジションや年収、マネジメントサイズをあげているのが現状です。この差は一体、どこにあるのでしょうか。
前回の記事では「管理職になりがたらない、優秀な女性社員への動機付け」という観点、つまり、「管理職になる前」を取り上げましたが、今回は「管理職になった後」に焦点を当て、男女問わず転職市場で求められる優秀な管理職の特徴についてお伝えします。
日本企業が「部下を育てられない管理職」を量産してしまう理由
そもそも、管理職の仕事とは何でしょうか。それは戦略を立て、部門として求められる実績をあげながら、部下を管理、育成、採用することです。さらに言うと、組織の短期の目標達成と、中長期の目標達成を両立させることです。
これは「言うは易く行うは難し」の典型例で、実現には絶妙なバランス感覚と一種のスキルが求められます。しかしながら、日系企業の中にはマネジメントスキルを養うための研修がなく、実績をあげたいちプレイヤーが、ある日を境に昇進して管理職になるケースも少なくありません。
その結果、多くの人は手探りにならざるを得ず、時に同じく手探りでスタイルを確立してきた先輩管理職のやり方をまねていくことになります。その結果、プレイングマネジャーとしては優秀でも部下が全く育たない管理職や、はたまた長く培ってきた社内の慣習や人脈に頼った成功法はあっても、他社では通用しない管理職が誕生してしまいます。
つまり、日本にはどの企業でも通用するプロの管理職が少ないのです。一方で、外資系企業では管理職の研修が比較的手厚く、またノウハウが体系化されていることが多いです。その結果、プロの管理職として業界を渡り歩ける人が少なからずいる印象です。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 幹部候補か、“万年ヒラ”か キャリアの分かれ目「30代以降の配置」を、人事はどう決めている?
「育成」の観点から異動配置させる20代が過ぎると、多くの企業は「幹部候補の優秀人材」と「それ以外」の社員を選別します。人事は、そうした異動配置をどのように決めているのでしょうか。年代層別の異動配置のロジックをみていきます。 - 「優秀だが、差別的な人」が面接に来たら? アマゾン・ジャパン人事が本人に伝える“一言”
多様性を重視するアマゾン・ジャパンの面接に「極めてだが優秀だが、差別的な人」が来た場合、どのような対応を取るのか。人事部の責任者である上田セシリアさんに聞いた。 - 「優秀でも残念でもない、普通社員」の異動に、人事が関心を持たない──何が起きるのか
社員の異動を考える際、人事部が真っ先に関心を持つのは「優秀社員」と「残念社員」。その間にいる大多数の「普通社員」は後回しにされがちという実態がある。しかし、この層への取り組みを疎かにすると、ある懸念が生まれる。 - 「売り上げが落ちてもいいから、残業をゼロにせよ。やり方は任せる」 社長の“突然の宣言”に、現場はどうしたのか
「来年度の目標は、残業時間ゼロ」──社長の突然の宣言は、まさに寝耳に水の出来事だった。準備期間は1カ月。取り組み方は、各部門に任せられた。現場はどう対応したのか?