「カジュアル領域で100億円を目指す」 AOKIが60万点用意した“JOYカジュアル”とは?:高機能で低価格(2/3 ページ)
AOKIが21年10月にカジュアルアイテムシリーズの「JOYカジュアル(JOYカジ)」を発表した。店舗ではパジャマスーツに比べて“ひっそり”と陳列されている同シリーズは、一体どのような商品なのか。
ポイントは「あえて接客しない販売方法」
「AOKIはロードサイドの店舗が非常に多く、その商圏内の人に幅広く利用していただきたいとの思いがベースにあります」と話すのは、AOKIの執行役員、商品戦略企画室の本田茂喜氏。アクティブワークスーツや東京2020大会日本代表選手団の公式服装などを担当した。
本田氏は「店舗に立ち寄っていただければ、ある程度ベーシックなカジュアルウェアがあると思っていただきたい。若い方やご年配の方でも、どちらでも使えるなと感じてもらえるような構成にしています」と展開を決めた経緯を話す。
スーツは通常幅広いサイズから、お客の体形に合った商品を選ぶ必要がある。そのため販売員がコーディネートを提案したり採寸したりする必要があった。一方JOYカジは、「あえて接客しない販売方法」を選択。誰でも着用できるデザイン商品をラインアップとすることで、販売員の接客を必要とせず、人件費を削減。低価格での提供を可能とした。
また、入り口すぐの場所に展示することで、補正した商品を受け取るときなど店舗に立ち寄った際の“ついで買い”や、女性客が配偶者や家族の製品を購入する代理購入を促す狙いがある。
AOKIの店舗数は21年3月末現在で512店舗。郊外のロードサイドを中心に店舗網を広げてきた。また、ロードサイド店舗には、ビジネスウェアやフォーマルスーツを購入するお客以外にも、仕事でスーツを着なくなった人たちがふらっと立ち寄る場面も多いという。
「JOYカジの品ぞろえは、カジュアウェア専門店と比較したら圧倒的にかないません。だからこそ“気軽に買えて気軽に着られる”点を意識しています。“きらく”なカジュアルウェアとして、着用したときの楽しさと同時に、気楽に着られる部分も必要だと考えました。
ラインアップする商品は、寒くなったり外で作業をしたりするときにサッと羽織れるような生活必需品、“ツール”と捉えています。そのため、手に取りやすい価格帯で、店員のアドバイスを必要としないベーシックアイテムにこだわっています」(本田氏)
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