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ユニクロ・ワークマン参入で危機 AOKIの“4800円スーツ”は起死回生の一手となるか磯部孝のアパレル最前線(1/4 ページ)

リモートワークの普及とともに「常時オフィス出勤」というこれまでの常識が通じない現在、ビジネススーツ業界にも新しい潮流がうまれて来ている。

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 卒業、入学、入社、就活スタートと春は何かと行事が多い。1都3県を対象とした緊急事態宣言は2週間延期されたものの、条件付きでこれら社会行事を行う所もあるだろう。例年であればスーツ業界にとって書き入れ時であるのだが、今年はいつもと様子が違う。リモートワークの普及とともに「常時オフィス出勤」というこれまでの常識が通じない現在、ビジネススーツ業界にも新しい潮流がうまれて来ている。

 2月に入ってビジネススーツ業界に大きなインパクトを与えたのは、ワークマンのビジネスセットアップ「リバーシブルワークスーツ」だ。ジャケットが2900円(税込、以下同)でパンツが1900円と、上下合わせて5000円以下という安さ。しかも上着が作業用ジャケットになるというリバーシブル仕様となっている。実際2900円のジャケットは安い。しかし、リバーシブル側の作業デザインは、正直言ってかなり見苦しい。レビューコメントにもあったが、生地の薄さから考えても実用的ではないという指摘もあって、ご愛嬌程度の付加価値しかない。


ワークマンが発売した「リバーシブルワークスーツ」(出所:プレスリリース)

 それでも全体のコストパフォーマンスで考えると、ストレッチの効いたパンツのウエスバンド裏部分には4カ所にズレを防止する「ネーム」も付き、所々にジップポケットが施された仕様は優れている。好調ワークマン初のビジネスセットアップの発売は大いに注目を集め、発売数日で完売御礼という盛況に終わった。


パンツにはズレ防止の「ネーム」が付いている(筆者撮影)

 その一方で、本家本元のビジネススーツ専門店大手のAOKIが打ち出したのが「アクティブワークスーツ」。こちらも1着4800円とワークマンに対抗した価格設定だ。オンラインで実施した2回の予約販売も完売という状況で、3回目を3月4日から受け付けている。店頭に供給できる商品量の確保まで至らず、現状ではオンラインのみの販売といった形だ。

 さて、これら5000円以下でそろう激安セットアップスーツが意味するものとは、一体何だろう。少し過去を振り返りながら、今日の激安セットアップスーツ対決について考えてみたい。

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