自転車専門店「サイクルベースあさひ」が好調 “斜陽産業”のイメージ覆して急成長した理由:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
自転車専門店「サイクルベースあさひ」運営会社の業績が好調だ。斜陽産業と見られた自転車専門店で、異例の急成長を遂げているのはなぜか? 独自のビジネスモデルに迫る。
密を避ける交通手段として注目
あさひの22年2月期第3四半期までの業績は、売上高565億3400万円(同3.4%増)と増収を維持。利益面では営業利益56億8500万円(同17.4%減)、経常利益58億9800万円(同18.3%減)と減益となっている。これは、スポーツサイクルの世界的な需要増に対してパーツメーカーの供給が追いつかず、商品が思うように生産できなかった影響が出たものだ。
店舗数は、期内に関東6店、近畿4店、中国1店と計11店増加。東京都荒川区の南千住店の出店によって500店に到達した。
同社・広報によれば、好調の要因として「社会的に『密』を避けて行動できる移動手段として自転車が注目されている。通勤・通学のみならず、人々の日常生活での活用機会が増えた。移動距離や搭載する荷物の量を考えて、電動アシスト自転車が好調」としている。
また、「休日の余暇に、公共交通機関を使った旅行を控えて、家族や仲間とサイクリングを楽しむために、スポーツタイプが選ばれている。今回のコロナ禍を機に自転車を始められた方は、体力面の心配から、スポーツタイプの電動アシスト自転車を購入するケースも多い」(同社・広報)と、通勤・通学からサイクリングまで、電動アシスト自転車の幅広い需要増が示された。
21年には東京オリンピックが開催されたが、富士山をバックに大自然を駆け抜ける雄大なロードレースや、アクロバティックなBMXフリースタイルなど、自転車競技の新しい魅力が発信された。スポーツサイクルの市場活性化に少なからず貢献したとみられる。
しかし、コロナ禍やオリンピックによって、停滞していた業績がたまたま恵まれて上昇したのではなく、もともとずっと右肩上がりだった。11年の年商は約287億円だったが、21年にはおよそ2.4倍の約695億円にまで伸びている(各年2月20日時点の比較)。低成長の日本では異例の成長ぶりだ。
これは、サイクルベースあさひが、アウトドアブームや電動アシスト自転車の成長力に着目して店づくりを行ってきた成果でもある。
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