「舐めると味がするテレビ」がスゴい! 世界初公開“進化版”を見せてもらった:実用化は2〜3年後(2/4 ページ)
『ドラえもん』に登場するひみつ道具「グルメテーブルかけ」を想起させるテレビがある。舐めると味がする「味わうテレビ」だ。「ピザ」の映像が映し出された画面を舐めると、ピザの味が楽しめるという。どういう仕組みなのか? 開発者に話を聞いてみたところ……
意外な課題とは?
――例えば、ピザの中心部はソースがたっぷり乗っていて味が濃いけど、耳の方はソースがかかっていないので味が薄くなりますよね? そういった違いも再現できるのでしょうか?
宮下: そこは一つの課題ですね。味覚センサーで計測するのは攪拌した後の液状のものなので、いわば口の中に入れてかんでいる時の味しか再現できないんです。ですので、口に入れた瞬間に感じる味を再現するのはかなり難しいんです。
例えば、フライドポテト。口に入れた瞬間にまず感じるのは「塩味」だと思います。フライドポテトの上に乗っている塩が伝わってきますよね。ただし、フライドポテトを攪拌するとその塩味の存在感はかなり薄れてしまうんです。
私は「味」だけにこだわらず、「食べた時の体験」も再現したいと考えています。味覚センサーで全体の味を計測するのはある意味では正確ですが、人間が料理を食べた時に感じる味に近づけて調整したほうがよりリアルだと思います。
――なるほど。その料理の平均値の味を再現することはできるけど、食べた時にどの順番でどういう味を感じるかの再現は難しいということですね。
宮下: そうですね。ただ、やり方はあると思っています。液体を噴霧する順番を変えることで舐めた時に「最初に感じる味」を変えることができそうなんです。
例えば、フライドポテトのじゃがいもの味を再現する液体(甘味のスクロースとうまみのグルタミン酸ナトリウム)を先に噴霧し、少し時間をおきます。そうすると、液体の層が半乾きになるので、その上に塩を再現する食塩水を噴霧することで、塩味が下の層と混ざらずに重なり、舐めた時に真っ先に塩味が感じられるようになります。
口の中ですりつぶした味は、平均値でしかありません。これを層として重ねていくことで、食体験の再現に近づけると思っています。
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