「舐めると味がするテレビ」がスゴい! 世界初公開“進化版”を見せてもらった:実用化は2〜3年後(4/4 ページ)
『ドラえもん』に登場するひみつ道具「グルメテーブルかけ」を想起させるテレビがある。舐めると味がする「味わうテレビ」だ。「ピザ」の映像が映し出された画面を舐めると、ピザの味が楽しめるという。どういう仕組みなのか? 開発者に話を聞いてみたところ……
実用化は2〜3年後 「家電・食品業界」への影響は?
――実用化についてはどのように考えられていますか?
宮下: 2〜3年以内に実現したいと思っています。ハードウェアのコストを考えたら10万円くらいで販売できるんじゃないですかね。インターネットにつながるようにして、食べたい味をダウンロードする仕組みにすべきだと考えています。
料理の写真を見て「どんな味がするか」を推定するAIの研究も進んでいると聞きます。そういったテクノロジーと組み合わせることで、テレビの映像やネット上にある画像からその味をすぐに再現することもできるようになってくると思います。
コロナ禍で外食に大きな規制がかけられました。この製品があれば、家にいながらさまざまな料理を味見したり、料理を特定の味にすることができたりするので、家電や食品業界に大きなインパクトを与えることになると思います。実際に家電メーカーと話もしています。
――それぞれの業界にどういった影響があると考えられていますか?
宮下: まず、家電業界では「調味家電」という新しいジャンルが確立できると思います。今までプロしか出せなかった味の加減を、機械が代行して細かく制御できるようになります。「塩少々」などのあいまいな指示ではなく、正確な塩の配合量が明確になり、家庭料理をぐんとプロの味に近づけることができます。
食品業界にとっても新たな市場開拓につながります。自宅でテレビに映し出された料理や一流レストランのプロの味を再現できたら「食品業界の商売は上がったりじゃないか」と思われるかもしれませんが、むしろ「味コンテンツビジネス」という新しい展開が期待できます。
料理を味覚センサーで測り、そのデータを有料コンテンツとして売るというビジネスです。ダウンロードごとに費用がかかるのもありだし、サブスクリプション型もあり得ると思います。ファミリーレストランの味が楽しめる「基本プラン」と、それに加えて一流シェフの味も楽しめる「高級プラン」とか。
――いつもの料理がいきなり一流シェフの味になるなんて夢みたいですね。どれくらいの市場があると考えられていますか?
宮下: 食事には、空腹を満たすことや栄養摂取のほかに、味を楽しむエンターテインメント的な側面がありますよね。TTTVシリーズは、そのニーズを満たす製品になり得ると思うので、現在、人々がそこに使っている金額がそのまま市場に流れると考えてもいいのかなと思っています。
ECやデリバリーのおかげで、遠くの店の料理を「待てば食べられる」世界が定着した。将来的に、TTTVシリーズによって「一瞬で食べられる」世界が実現するかもしれない。食体験や食を取り巻くビジネスはどう変わっていくのか、楽しみだ。
関連記事
- ランドセルが、約90%軽くなる「棒」とは? 購入予約数は約2000本に
ランドセルの重量化が腰痛や肩こりなどを引き起こす「ランドセル症候群」が小学生の間で広がっているという。そんな状況を改善すべく、大学生と小学生が協力して、ランドセルを約90%軽くする「棒」を開発した。棒でどうやってランドセルが軽くなるのかというと…… - ”おじさん上層部”の反対を押し切って発売 約2年で44万個売れた「プリントグラス」のヒットの理由とは?
創業200年の老舗ガラスメーカーが復刻させた、昭和レトロなデザインのプリントグラスが爆発的に売れている。累計販売数は2019年10月の発売から約2年で44万個を突破した。昨年の1月からは7カ月連続で月次の最高販売数を更新しているという。なぜ今、復刻商品が売れているのか? その秘密に迫る。 - コメダの新業態店「KOMEDA is □」の料理に覚えた”違和感” プラントベースの限界か
東京・東銀座駅から徒歩2分の場所にコメダの新業態店舗「KOMEDA is □」がオープンした。「地球とくつろぐ」を目指し、プラントベース100%のメニューを提供している。人気メニューを口にして言い表せない”違和感”を覚えた。コメダが考える現時点のプラントベースの”限界”とは? - 焼き立てパンは置いていません! パン屋の”当たり前”をくつがえす「時をとめるベーカリー」は、なぜ生まれたのか?
パン屋の魅力といえば、焼き立ての香りが充満する空間でおいしそうにテカテカと光るパンを選ぶことといっても過言ではないだろう。神奈川県・瀬谷駅直結のパン屋「時をとめるベーカリー」はそんなパン屋の常識をくつがえす。「うちには焼き立てパンは置いていません」。どういうことなのだろうか? パン屋の魅力をとっぱらった店はなぜ生まれたのか? - 渋谷の一等地で、コーヒー1杯99円 なぜこのビジネスが成り立つのか?
「安いのは嬉しいけど、安すぎるとちょっと不安」という心理に陥ったことはあるだろうか?渋谷の地下街で「コーヒー1杯99円」というカフェの看板を見たときにそう思った。なぜこのビジネスが成り立つのだろうか?運営会社に話を聞いたところ……
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.