函館本線「山線」並行在来線として2例目の廃止、鉄道を残す方法は?:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/7 ページ)
1月31日に西九州新幹線の並行在来線、2月3日に北海道新幹線の並行在来線と、並行在来線の処遇に関する報道が相次いだ。並行在来線とは整備新幹線に平行する在来線のうち、JRが不要と切り捨てた区間だ。切り捨てられるほどなので、地元の人々の利用が少なく生活路線としての存続は難しい。それでも鉄道を残す方法はあるのだろうか。
長万部〜小樽間は1903年(明治36年)に北海道鉄道によって開通し、05(明治38)年に函館〜札幌〜旭川間が全通した。07年に国有化され、09年に函館本線と名づけられた。函館と札幌の2大都市を結ぶ動脈であり、函館には青函航路があって、本州にも通じる幹線だ。
しかし、28年に長輪線(現在の室蘭線)が開通すると、函館本線の山岳区間を避けた海岸回りの急行列車が走り始める。50年代後半になると主な特急、急行、重量級の貨物列車が室蘭線経由で札幌へ向かうようになった。
長万部〜小樽間は優等列車の主要ルートではなくなった。しかし、00年に有珠山が噴火したときは室蘭線が3カ月にわたって不通になり、長万部〜小樽間は迂回(うかい)ルートとして機能した。鉄道のネットワーク性能、冗長化の必要性が確認された。有珠山は活火山であり、長万部〜小樽間の「山線」が廃止されると、次の噴火で迂回ルートを断たれる。そこに山線の存続意義があるはずだった。
しかし、北海道新幹線並行在来線対策協議会がJR貨物に聞き取り調査を実施したところによると、現在の機関車は大型で、サイズ、重量、性能面で山線は運行できないという。災害時には代行トラックを優先的に検討するとのことだった。山線を維持しても、ほかの第三セクターのようにJR貨物列車が運行できず、線路使用料が期待できない。これも沿線自治体がバス転換に向いた理由のひとつだ。
ここまでをまとめると、長万部〜小樽間については、長万部〜余市間についてはバス転換でほぼ決まり。並行在来線で鉄道が残らない例としては、前出の信越本線横川〜軽井沢間に続いて2例目になる。
余市〜小樽間は鉄道存続の余地がある。ただし小樽市長の「バスも視野」が気になるところだ。北海道交通監査室の調べでは、余市〜小樽間の乗車人員は鉄道とバス合わせて4170人/日。
輸送力としては、列車が33本、バスが121本。バス便のうち113本は北海道中央バスが運行しており、輸送能力は6780人/日。つまり、バスの輸送力は列車を失ったぶんを引き受ける余裕がある。ピーク時間帯でもダイヤを調整すればバス1本ぶんの増便程度で済みそうだという。
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