キリンHD、中国の清涼飲料事業から撤退へ 中国系投資ファンドへ約1150億円で売却:売却益は390億円
キリンホールディングスは現地企業と合弁で展開していた中国での清涼飲料事業から撤退すると発表した。キリンHDが保有する全株式を中国系投資ファンドに総額1150億円で譲渡する。これに伴い、キリンHDは2022年12月期連結決算に約390億円の売却益を計上する。
キリンホールディングス(キリンHD)は2月16日、現地企業と合弁で展開していた中国での清涼飲料事業から撤退すると発表した。キリンHDが保有する全株式を中国系投資ファンドに総額1150億円で譲渡する。これに伴い、キリンHDは2022年12月期連結決算に約390億円の売却益を計上する。同社は撤退の理由について「コア事業への投資に注力するため」としている。
キリンHDは11年8月、中国でビールや食品、清涼飲料事業を手掛ける華潤創業と合弁会社「華潤麒麟飲料」を設立。キリンHDは4割の株式を保有していた。設立以降の約10年間、水を中心に成長を続けていたものの、最終的に中国系投資ファンドPlateauへの事業売却を決めた。
中期計画で求められた“選択と集中”
背景には、同社が14日に発表した中期経営計画の存在がある。同社は27年までの長期経営計画を3分割し、22年から24年までの3年間を第二段階と位置付けている。
だが、19年から21年の3年間の大半をコロナ禍が直撃。「想定よりも成長率が下回った」(同社)という。今後3年間で不足分を挽回するため、経営のスリム化が求められていた。
同社は、キリンビール・キリンビバレッジ、海外でのクラフトビール事業からなる「食」、協和キリンが手掛ける「医薬品」、世界的なニーズが高い「ヘルスサイエンス」の3領域を、今後3年間のコア事業と位置付けており、中国での清涼飲料事業はその対象から外れていた。事業売却によって、同社は事業のスリム化を図るとともに、成長事業への投資を加速させる方針。
外交面では米国と中国の対立が激化し、日本企業にとって中国進出がリスクになる可能性が懸念されている。同社は「米中対立の影響は全くない」と明確に否定しつつ「中国でヘルスケアのニーズが高いのは事実。将来的な再進出の可能性はゼロではない」とした。不採算だったのではないかとの問いには「1000億円以上の売却額が出ているため、不採算事業とは認識していない」としている。
株式の譲渡日は未定。売却額のうち、500億〜600億円程度は株主に還元するという。
海外事業を巡って同社は、同月14日、軍部政権による人権問題を理由に、ミャンマーから撤退する方針を明らかにしている。21年12月期連結決算で、ミャンマー事業に関する減損損失として累計680億円を計上し、6月末までの決着を目指している。
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