デジタル時代にSTPは古いのか? 「リーンスタートアップ」の本質:確かに変わった「スピード感」(2/4 ページ)
現代マーケティングの大家、フィリップ・コトラーが提唱した「STP理論」。ターゲットに自社の価値・魅力を示して、競合と差別化を図るポジショニングのことだが、近頃「もう古い」と聞くことが多くなってきた。本当にそうなのだろうか?
リーン・スタートアップとは?
簡単に言えば、「コスト(手間や時間を含む)をかけずに最低限の製品・サービス・機能を持った試作品を短期間でつくり上げ、上市(もしくはWeb上へ場合によっては無料でアップ)し、顧客の反応を的確に取得し、より満足度が高まるできる製品・サービスにブラッシュアップをする開発を繰り返していくしていくマネジメント手法」のことだ。
リーン・スタートアップは米国の起業家、エリック・リース氏が、コミュニケーションサイトの運営ベンチャーを起業した経験から提唱したものである。
Leanは形容詞で「(筋肉質で)細い、やせた、引き締まった」という意味が辞書にはある。転じて「無駄を省いた開発手法」を意味するようになった。
先にザッカーバーグ氏の言葉で「設計→開発→テスト→改善」という工程を上げたが、リーン・スタートアップの正確な工程は「(1)構築→(2)計測→(3)学習→(4)再構築」とされている。
以下、その内容を簡単に紹介する。
(1)構築=アイディアや仮設を元に新しい製品・サービスの企画を立案し、なるべくコストと時間をかけずに完璧でなくともよいので形にして、MVP(Minimum Viable Product)と呼ばれる実用最小限の製品を開発し、顧客に試してもらう。
(2)計測=試作品(MPV)に対して顧客候補(特に初期はアーリーアダプター層=高感度層:○項にて詳説)からどのような反応が得られるかを観察・計測する。
(3)学習=観察・計測の結果をもとに、MVPを改善していく。特に前記初期高感度層(アーリーアダプター)の反応が思わしくない場合、最初に立てた仮説そのものを見直して方向性を変更し、製品・サービスの改良をしていく。
(4)再構築=うまくいかない場合はできるだけ早い段階で構築からやり直す。そうして「顧客と、その顧客にとっての価値」を見極められるようになるまで、市場の反応を観察・計測しながら「(1)構築→(2)計測→(3)学習→(4)再構築」を繰り返していく。
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