「副業」が課長になる条件!? 有望な人材は「外に出る」時代により高く羽ばたく:人材流出のリスクは?(2/4 ページ)
日本経済新聞が某大企業の人事政策を報じた。課長になる条件として、出向や副業といった外部の経験を必須とするという。こうした時代にビジネスパーソンはどう生き抜くのか。
副業解禁は人事政策上の諸刃の剣
新聞記事の例でユニークなのは、昇格の前提を副業にまで広げている点である。副業は「本業に支障が出る」「企業秘密が漏えいする」などの理由から、多くの企業で禁止されてきた。しかし昨今は、「本業に相乗効果のある副業を許可することで、従業員のスキルアップやマーケティングなどの営業活動につなげたい」との考えから、一転して副業を解禁する企業が増えている。終身雇用で従業員とその家族を守り続けることが当たり前ではない時代であり、各自が次の道を開拓できるようにしておきたいとの思いもあるだろう。こうした企業側の変化は、コロナにより在宅勤務の時間が増えており、浮いた通勤の時間を有意義に過ごしたいと考える従業員には追い風となる。
ただ、副業解禁といっても、即座にできるものではない。どうしても従業員の間で行動力の差は出てくる。また、昇格を前提とするのであれば、副業の質も当然問われることになる。業務出向であれば、人事異動の一環として会社側が主導できるが、副業はあくまで従業員のイニシアチブによるものだ。そして、その行動力やセンスを評価しようというのだから、ある意味、従業員にとってシビアな制度だともいえる。
しかし、これは企業側にとって諸刃の剣であることはいうまでもない。副業により従業員は外の世界に触れ、本業では得られない経験をする。人脈の広がりを通じて自社とは異なる価値観に接し、自分のスキルの足りていない部分に気付く。意識の高い人であれば、自分の足りない部分を補うための努力をするだろう。そのような過程でその人のマーケットバリューは高まる。これこそが会社が昇格の条件として評価する点だが、当の本人は高まったマーケットバリューをもとに、所属先におけるキャリアパスと外に出た場合のそれとを比較するようになる。つまり、昇格の動機付けとして「外に出る」ように背中を押したところ、転職して帰ってこなくなるリスクが高まってしまうのだ。優秀な人のマーケットバリューは当然高く、結果として「社外流出」のリスクは大きい。一方でそうでない人ほど「社内滞留」してしまうことも考えられる。
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