地域金融機関19行参加 マネーフォワードが中小企業DX化のために独自グループウェアまで作成したワケ
マネーフォワードは2月24日、中小企業向けのサービス「DXF」を夏から提供すると発表した。バックオフィス向けのツールを中心に、グループウェア的な機能を中心とした簡易サービスだ。
マネーフォワードは2月24日、中小企業向けのサービス「DXF」を夏から提供すると発表した。DX化が進んでいない、主に地方の中小企業をターゲットとしたもので、スケジュール管理や社員名簿など、グループウェア的な8つのサービスをまとめたポータルとなる。なぜ、いま敢えてグループウェアを新規に開発して提供するのか。
簡易サービスを、DX導入のきっかけに
開発に携わった法人サービス企画部の田島達也部長は、「ITリテラシーが低い企業でも、気づいたらデジタルに置き換わっていたということを目指す」と話した。企業のDX化は、生産性向上の観点でも重要だが、取り組みが進んでいるのは大企業で、中小企業においては約7割が取り組めていないという実情がある。
背景にあるのは、ITリテラシーにおいても広がっているギャップだ。業務向けサービスのUIUXなどの使い勝手は近年大幅に向上したが、あくまでITリテラシーが高い企業に向けたサービスだ。「よりよいサービスを自分たちで使える人たちと、そうできない人の格差が広がっている」と、マネーフォワードエックスカンパニーCSOの本川大輔氏は話す。
以前、マネーフォワードの会計サービスなどを、協業している地域金融機関を介して導入を目指したが、本格的なサービスの導入はうまくいかなかった。何回かそうしたトライを繰り返した上で、簡易なサービスを通じて顧客のITリテラシーをアップさせることが重要だと気づいた。
各種クラウドサービスがどんどん進化していく中で、「取り残されないようにサービスを作る」(本川氏)ことを狙ったのがDXFだ。毎日使ってサービスに慣れてもらうため、グループウェア的な機能を中心に、簡易サービスを用意した。慣れてきて、本格的なサービスを使いたければ、別のサービスを紹介することを想定している。
DXFは、地域金融機関を通じて提供する。現時点で、静岡銀行、八十二銀行、ひろぎんホールディングスなど19行が参画予定だ。これら金融機関は、地域企業からDX化の相談を受けることも多く、DXFの提供を通じて中小企業のDX化を支援していく。
DXFは各地域金融機関のブランドで提供され、金融機関独自のコンテンツを載せることも可能だ。金融機関には地域企業のDX推進を期待されるが、ITやDXのノウハウがないのも現状。DXFのようなシンプルなツールを取り扱うことで、金融機関自体のノウハウ獲得にもつながるわけだ。
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