なぜ「時速5キロの乗り物」をつくったのか 動かしてみて、分かってきたこと:「実証実験」の結果(4/4 ページ)
時速5キロで走行する乗り物「iino(イイノ)」をご存じだろうか。関西電力100%子会社の「ゲキダンイイノ」が開発したところ、全国各地を「のろのろ」と動いているのだ。2月、神戸市の三宮で実証実験を行ったところ、どんなことが分かってきたのだろうか。
どこに導入?
もう1つの「法律」はどうか。現状、「iino」は公道を走行することはできない。道路交通法の改正が必要になるわけだが、「神戸市や関電は将来的に三宮や元町の市街地中心部での導入を目指している。鉄道やバスから乗り換えて、1km以内の近距離移動を便利にし、街のにぎわいにつなげる考えだ」(産経新聞 2月2日)
安全性が担保されて、法改正もクリアーすれば、このモビリティはどんなところで使われるのだろうか。動く歩道は1メートルにつき200万円ほどの費用がかかるので、莫大なコストになる。東京でいえば、JR東日本の東京駅から京葉線に乗り換える間にあるし、大阪でいえば、阪急梅田駅と阪急百貨店の間にある。
この2カ所を「iino」にすればいいのではと思われたかもしれないが、それは難しい。ちょっと想像していただきたい。たくさんの人が利用している動く歩道を壊して、のろのろ走行のモビリティにするとどうなるのか。利用者のイライラが増幅するだけでなく、人の流れが悪くなるばかりである。
じゃあ、どこに導入することができるのだろうか。動く歩道でもなく、小型バスでもないところに可能性があるのではないか。例えば、ショッピングセンター、空港、遊園地などで導入すると面白いのかもしれない。遊園地の場合、遊具のような感覚で移動できるので、導入のハードルは下がりそうである。
最後に、可能性をもう1つ。モビリティは言葉の壁がないので、うまくいけば海外での普及も考えられる。実際、「お声をいただいている」(財津さん)そうだが、具体的な話には進んでいないそうで。コロナ禍ということもあって、まずは日本での定着を考えているようだ。
普及のスピードは「ゆっくり」なのか、それとも「速い」のか。いや、どちらでも“イイノ”かもしれない。
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