「ローソンがキャンプ市場に参入」の噂が、飛び交い続けるワケ:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
今、空前の「キャンプブーム」が訪れているが、愛好家の間でまことしやかなうわさが飛び交っている。「ローソンがキャンプ市場に参入」だ。もちろん、同社はそのようなことを発表していないが、「ひょっとしたら実現するかも」と感じさせられる動きがある。どういうことかというと……。
「キャンプローソン」はどうか
「全国どこでも同じコンビニ」がドミナント戦略で2キロ圏内に陣取りゲームのように出店していくという、レッドオーシャンは人口増社会でしか成立しない。人口が減れば商圏内で顧客とバイトを奪い合うという凄(すさ)まじいカニバリが進む。これを避けるには、「全国どこでも同じコンビニ」という路線を捨てて、「地域に一つだけのコンビニ」を目指していくしかないのは当然だ。
そのためコンビニ各社は、店舗に「新しい価値」をのっけようと試行錯誤を繰り返している。例えば、ローソンでは書店併設型店舗を強化・拡散するために昨年、新ブランド『LAWSONマチの本屋さん』を立ち上げているし、以前から介護相談窓口やサロンスペースを併設した『ケアローソン』を展開している。ファミリーマートも最近、24時間フィットネスクラブ「Fit & GO」を併設した新しい業態の店舗もオープンさせた。王者セブン-イレブンでも以前から保育園併設店を展開している。
この方向性がアリならば、キャンプ場が近いところにあるコンビニは、キャンプ用品やキャンプ食材を扱うことに特化した店舗があってもいいのではないか。例えば、コンビニ得意のプライベートブランドで、ワークマンのキャンプ用品に対抗できるくらいの激安キャンプグッズをそろえて、オリジナルのキャンプ飯などに特化した「キャンプローソン」なんかどうだろう。
もちろん、地域住民のための生活必需品も扱うが、コンセプト的に防災グッズや備蓄用食料を多く取りそろえてもいい。また、キャンパーという観光客をターゲットにして、地域の特産品も扱い、付近のキャンプ場や観光情報などの案内所も併設。そして、コンビニ最大のウリである「24時間営業」を生かして、駐車場で申し込み制で車中泊もできるようにする。このように地域観光の拠点としての機能ももたせれば、コンビニ経営も安定する。
『山あいの町唯一のコンビニ、24時間営業断念 夜勤者確保できず』(河北新報オンラインニュース 2022年02月26日)というニュースがあったように、自然豊かな場所で24時間経営のコンビニはこれから難しくなっていく。産業がなければ若者は都市部に出るので、バイトの確保はどんどん難しくなる。それでもなお「24時間営業」を維持したいのならば従来のやり方ではなく、「深夜にも人がいる」という強みを活用して、新たな価値をのっけていくしかない。そこでひとつのアイデアとして考えられるのが、「深夜は宿泊施設になるコンビニ」だ。
自然豊かな地域のコンビニは、駐車場がやたらと大きいが、深夜はほとんど誰も利用しない。そこで長距離ドライバーや車中泊で旅行する人たちに提供する。総菜や生活用品、雑誌なども売れるので経営的にメリットがあるし、そこを拠点に地域観光も促進される。
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