東京オリパラに関する総括はどうした:何を検証すべきか(2/5 ページ)
昨夏のコロナ過の最中に行われ、議論を呼んだ東京オリンピック・パラリンピック。その招致時に企図された狙いの大半はコロナ過もあり脆くも崩れ去ったため、費用対効果の面では見るも無残な結果となった。それも含め、ごまかさずにきちんと総括すべきだ。
1)については日本選手の大活躍が続いたお陰で高く評価する向きもあろうが、そもそも無観客開催になっても国民の大半はTV観戦で大いに盛り上がったのだから、わざわざ地元開催でなくともよかったことになってしまう。2)についても、会場やパブリックビューまたはスポーツバーなどで観戦することでの市民間での盛り上がりは得られず、景気刺激効果が大きく棄損したのは間違いない。
とはいえこうした結果、すなわち「効果」が大きく棄損してしまったことに関しては関係者・責任者を責めることはできない。正直なところ、招致段階においてここまで世界的なパンデミックにぶち当たる可能性を予想できた者は皆無だったはずだ。これは大震災の被害同様に関係者にとっては制御不能な「天災」だったと言えよう(私見では中国政府の情報隠しによる「人災」だったとも思うが)。
とはいえ、海外からの観光客の訪日が期待できなくなった時点で「プランB」に切り替えるべきだったのに、政府も多くの企業も大した対策をできていなかったのは残念だ。開催が1年延期されたので対策準備期間は結構あったのだ。幾つかのあり得べきシナリオの一つとして「海外からの訪日ゼロ、しかも無観客観戦となった場合、どう対処すべきか」を検討しなかったとしたら、その企業はよほど「思考停止」状態が続いていたと言わざるを得ない。
具体的にはインターネットでの海外への訴求に思い切って重点を切り替えていく思い切りが、政府・企業側にもっとあってよかったのではと思える点は幾つもある。例えば、小生も関与した企業が世界にその素晴らしい技術力をアピールする機会を、国内での開催直前のオリンピックへの反発ムードに遠慮してあえて抑制したことは、かえすがえすも残念だ。こうした観点で検証すべき点は他にも多々あるだろう。
関連記事
- なぜ「時速5キロの乗り物」をつくったのか 動かしてみて、分かってきたこと
時速5キロで走行する乗り物「iino(イイノ)」をご存じだろうか。関西電力100%子会社の「ゲキダンイイノ」が開発したところ、全国各地を「のろのろ」と動いているのだ。2月、神戸市の三宮で実証実験を行ったところ、どんなことが分かってきたのだろうか。 - 丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。 - なぜ飛行機の“中古”部品が売れているのか JALのカプセルトイが7時間で完売
飛行機の部品をカプセルトイで販売したところ、航空ファンを中心に話題になっていることをご存じだろうか。JALの整備士が手掛けていて、2〜3日で完売。なぜ人気を集めているのか、担当者に話を聞いたところ……。 - CDが苦戦しているのに、なぜ曲を取り込む「ラクレコ」は売れているのか
CD市場が苦戦している。売り上げが減少しているわけだが、CDをスマホに取り込むアイテムが登場し、人気を集めている。商品名は「ラクレコ」(バッファロー)。なぜ売れているのか調べたところ、3つの要因があって……。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.